回転 [DVD]

監督 : ジャック・クレイトン 
出演 : デボラ・カー  ピーター・ウィンガード  メグス・ジェンキンズ  マイケル・レッドグレイヴ  パメラ・フランクリン  マーティン・スティーヴンソン 
  • 紀伊國屋書店
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感想 : 6
5

<私的ホラー映画祭③>画角やキャメラ移動、構図などが、完璧。そして、怖い。すばらしい作品。白黒だが、カラー作品の何倍もの怖さを描くことに成功している。

フィクションの世界で亡霊の怖さを純粋に提示するのは実に難しい。それをなしえたこの作品は、屈指の傑作といえるだろう。

ぬうっと登場する亡霊が怖い。動かないのが怖い。迫ってきたりしたら興ざめだが、男の亡霊も、女の亡霊もただ立っているだけ。それが怖い。女の亡霊は特に、湖の草むらに立って、じっとこっちを見ているだけ。それが怖い。

本当に怖いのは、亡霊に取り憑かれた子供たちじゃなくて、亡霊を取り除こうとしたその家庭教師のギデンス自身が、その虜になってしまった、という点。子供の口に正面向かってあんなキスをするなんて、怖い。亡霊を眼にしてから、鬼木迫る形相で、怖すぎる。

あと、オルゴールとフローラの歌声、これも恐怖を増幅させる。やはり、ホラーには音ありき。

【ストーリー】
ミス・ギデンス(デボラ・カー)が、ブライハウスにやって来たのは、そこに住む幼いマイルス(マーティン・スティーブンス)とフロラ(パメラ・フランクリン)の兄妹の家庭教師となるためだった。ブライハウスは古い屋敷。兄妹は家庭教師のグロース夫人と生活していた。

ある日、庭で家の塔を見ていたギデンスは、見知らぬ男が彼女を見下ろしているのに気づき、恐怖に襲われる。彼女は、すぐ塔への階段をかけ上ったが、塔の上にはマイルスがいるだけで、男の影もなかった。

数日後の夕方、突然いなくなったフロラを探し、ギデンスが池の端に行くと、草むらの中に雨に濡れた黒衣の女が立っていた。その頃からギデンスは、夜ごと、邸内を覆うささやき声に悩まされ、兄妹の行動に割り切れぬものがあることに気づいた。

耐えかねたギデンスは、グロース夫人に真実を教えてくれと問いただした。グロース夫人の言葉によると、黒衣の女はギデンスの前に勤めていた家庭教師で、ある夜何者かに惨殺された執事の後を追って自殺したのであった。それ以来、2人の霊は兄妹の体を通して恋を語っているのであった。

ギデンスはショック療法で兄妹を救おうと、まずフロラを激しく問いつめ霊を追い出すことに成功。続いてマイルスを問い詰めたが、マイルスは語らぬばかりか、ギデンスの唇に自分の唇を重ねるのだった。

しかし、ギデンスが追及を続けると、突然黒い男の影が現れ、マイルスは一言叫んだままこと切れてしまった。後には恐ろしいほどの静寂が流れ、マイルスを助けようとして果たなさかったギデンスの涙に濡れた祈りだけがいつまでもいつまでも続いていた。

生と死の境界を映画技術の可能性の中で追求しようとする作品。ヘンリー・ジェームズの原作「ネジの回転」を「ティファニーで朝食を」のトルーマン・カポーティとウィリアム・アーチボルドが脚色、「年上の女」のジャック・クレイトンが監督、製作した。撮影は「息子と恋人」のフレディ・フランシス、音楽は「ノートルダムのせむし男(1957)」のジョルジュ・オーリック。出演者は、デボラ・カー、マイケル・レッドグレイブ、パメラ・フランクリン、マーティン・スティーブンスなど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2013年10月1日
読了日 : 2013年10月1日
本棚登録日 : 2013年10月1日

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