暴力脱獄 特別版 [DVD]

監督 : スチュアート・ローゼンバーグ 
出演 : ポール・ニューマン  ジョージ・ケネディ  J・D・キャノン  ルー・アントニオ 
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感想 : 17
3

暴力という手段を使って脱獄する話かと思いきや、全然違う。というか、邦題が全く「名は体を表す」になっていなくて、とても残念な気持ちになってしまう。原題『COOL HAND LUKE』のままでいい。

しかし、面白い部分も多かった。

まず映像的なメタファー。並んだパーキングメーターの頭を落とすのは、どこかのグループの仲間を一掃したのではないか、ということ。車掃除のおねえちゃんのシーンで、ホースは男根意外の何者でもないし、ポールニューマンがぶら下げた栓抜きは、十字架を茶化したもの、最後の教会への「神の救いの無さ」へと繋がり、サングラスは非人間、卵50個喰いは囚人50人の数とかけて、彼がその場のトップに立つことの象徴、茹で卵50個食べた後に机の上で磔にされたキリストのように横たわる、脱獄して女とうつった写真の破られ方が十字架、、など小技がキラリと効いている。

しかしながら、脱獄の手法が稚拙だったり捕まった顛末が省略されていたりして、いまひとつ緊張感には欠ける内容だった。

【ストーリー】
酔ったあげくに街のパーキングメーターをやぶったルーク(ポール・ニューマン)は懲役2年の刑を言い渡された。刑務所仲間はドラグライン(ジョージ・ケネディ)ほか強面の連中ばかりだったが、それ以上に、彼らを見守る看守の面々も猛者ぞろいだった。囚人と看守の間には絶えず反目と憎悪の空気が絶えなかった。新入りルークの仕事は、炎天下に雑草を刈り溝を掘るという重労働だったが、彼の新入りらしからぬ図々しくて、容量のいい態度は仲間の反感を買い、とくにボスのドラグラインは気に入らなかった。ある日2人は命をかけての殴り合いとなり、ついにルークが勝った。囚人のリーダーはドラグラインからルークの手に渡ったのである。数日後、ルークの母(ジョー・V・フリート)が訪ねてきた。面会時間が切れて、病に老いた母の後ろ姿を見送った時、ルークは、母に会うことはあるまい、と思った。そして、母の死を知らせる電報が来た時、彼は泣いた。3日後、ルークは脱獄した。逃げに逃げたが結局は捕まってしまった。ひどい懲罰を受けた。だか彼は再度脱獄。そしてドラグラインに、“冷たい手のルークより”と署名した手紙さえ送ったきた。監房の連中は口惜しがったが、ひとりとして怒るものはいなかった。自由になったルークこそ彼らの願望の体現者なのだから。しかし皆の期待を裏切ってルークはまた再び捕まってしまった。厳重な足かせをはめられ独房にほうりこまれた。それでも彼は反抗をやめない。そして、三度脱獄。今度はドラクラインも一緒だった。だが途中で2人は仲間割れ。ドラグラインは1人になり急に恐くなった。死にたくない。ルークも死なせたくない。半分は親友への愛から、半分は恐怖からルークの居場所を密告した。瀕死の床でルークは、医学的な治療をすべて拒絶した。迫りくる死を待つ彼の表情は美しくさえあった。今日も囚人たちは炎天下で働いている。言葉ををかわさない彼らの胸の中には権威に反抗し続けて、屈することを知らなかった冷たい手のルークが生きている。

実際に牢獄生活を送ったことのあるドン・ピアーズの小説を、彼自身とフランク・R・ピアソンが脚色、テレビ「裸の町」「アンタッチャブル」などの演出をしていたスチュアート・ローゼンバーグが監督した脱獄もの。撮影はコンラッド・ホール、音楽はラロ・シフリンが担当した。出演は「引き裂かれたカーテン」のポール・ニューマン、「夕陽よ急げ」のジョージ・テネディ、「エデンの東」のジョー・ヴァン・フリートとディック・ダバロスほか。なお、原作者のドン・ピアースが技術顧問を買ってでているが、彼は囚人の一人に扮して経験者ならではのリアルな芝居もしている。製作はゴードン・キャロル。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2014年12月26日
読了日 : 2014年12月22日
本棚登録日 : 2014年12月22日

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