演劇集団キャラメルボックスの立ち上げ時からの軌跡が描かれており、キャラメルボックスの裏側、俳優さんたちの人柄を知るにはとても良い本です
また、この本は単にキャラメルボックスを知るということだけではなく、人間としてのあり方も教えてくれているような本です
それはつまりキャラメルボックスからの『「それでもいいんだよ、キミはキミなんだから」と、孤独もコンプレックスも全部抱えて自分らしく生きよう、と語りかけてくる』というメッセージでもあるかと思います
キャラメルボックス立ち上げ時から役者さんとして活躍している西川浩幸さんの印象的な言葉を引用します
「普通、演技っていうのは『何かやること』だと思っている人が多いんです。でも、僕らがやっているのはできるかぎり意図しない、自分の意図を加えずに『ただ演る』というか、ある意味で『何もやらなくなること』が大切で、僕は『スケッチブック・ボイジャー』の初演の時にその感覚が何となくわかって、すごく楽になったんです。それが、お客さんに『開いて』いく今のスタイルのベースになってますね」
これって、普段の生活でも同じですよね
「何かやってやろう」って肩に力が入ったものって何かやっぱり不自然というか。。。
また、著者の守本さんはキャラメルボックスを「コンプレックスを抱えた孤独な人間の集団」と表現してます
ファンの私たちから見たら、とても想像できない表現です
テレビドラマなどで活躍されている上川隆也さんでさえ
「プライベートなことをあまり話さないから『隠してる』って言われますけど、普段の僕なんか知っても仕方ないような人間だから話さないんですよ(笑)。人にお見せできるのは芝居くらいしかない。ただそれだけなんですけどね」
と仰られてます
ただし、彼らはそのコンプレックスに対して自分自身を否定するのではなく、自分の一面(個性)として受けいれ、自分自身を表現しています
最後に「あとがき」に書かれていた印象的な言葉を引用します
キャラメルボックスボックスの人々に教えられたのは「奇跡の起こし方」ではなく、「奇跡を実感するための心構え」だと思っている。ひと口でいえば、それは「自分自身を信じきる気持ち」だ。
(中略)
1000人のうちの999人が "奇跡" と認めるような出来事は滅多に起きないけれど、「私にとって」の "奇跡" ならいつも、あなたのすぐそばに潜んでいる。誰が認めなくても、「自分にとってすごいこと」ができたら、照れや衒いを捨てて「これは私の奇跡」と言い切ってしまおう
- 感想投稿日 : 2011年4月23日
- 読了日 : 2008年5月7日
- 本棚登録日 : 2011年4月23日
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