未成年(下) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1969年6月22日発売)
3.86
  • (30)
  • (20)
  • (31)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 427
感想 : 26
5

養父マカールが亡くなってからの終盤の実父ヴェルシーロフの独白に近い対話が迫真。写真について、神について、恋愛における慰みでなく愛について。

白眉はヴェルシーロフが聖像を叩き壊す場面。その後も分裂する人間像が余すところなく描かれる。

タチヤナ・パーヴロヴナの人の良さも少ない叙述ながら、光っていた。

完全な理想的人物はありえず、どこか破綻しているが、憎めないのがドストエフスキーのメインキャストか。

最後の先達のコメントがこの小説の歴史的な意義を示しているのも嫌味がなく、構成的にさすがという他ない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本<文学>
感想投稿日 : 2016年11月15日
読了日 : 2016年11月16日
本棚登録日 : 2016年11月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする