養父マカールが亡くなってからの終盤の実父ヴェルシーロフの独白に近い対話が迫真。写真について、神について、恋愛における慰みでなく愛について。
白眉はヴェルシーロフが聖像を叩き壊す場面。その後も分裂する人間像が余すところなく描かれる。
タチヤナ・パーヴロヴナの人の良さも少ない叙述ながら、光っていた。
完全な理想的人物はありえず、どこか破綻しているが、憎めないのがドストエフスキーのメインキャストか。
最後の先達のコメントがこの小説の歴史的な意義を示しているのも嫌味がなく、構成的にさすがという他ない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本<文学>
- 感想投稿日 : 2016年11月15日
- 読了日 : 2016年11月16日
- 本棚登録日 : 2016年11月15日
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