単著としては2011年の夏の時点での最新作。もちろん、十分に楽しめるのだが、『ららら科學の子』『THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ』『傷だらけの天使』と、近年は人間業とは思えないほど矢継ぎ早に凄まじい傑作が放たれていたので、それらと比べると筋立てもセンテンスも捻りがなく物足りない、などと言ってはエンターテインメント小説の巨人に失礼だろうか。皮肉や反語が公共の言論から姿を消している現在にあっては、あまりにも貴重な存在であることに変わりはない。何度も言う、「出来映えと売り上げが比例するなどとは夢にも思わないが、それにしたって、なぜ矢作俊彦の小説は売れないのだろうか。こんなに面白いのに」。トマス・ピンチョンの『V.』を意識しているのかどうかが今一つわからなかったので、今は『V.』を読んでいる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(エンターテインメント)
- 感想投稿日 : 2011年9月1日
- 読了日 : 2011年8月27日
- 本棚登録日 : 2011年9月1日
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