常に死者の群れを幻視しながら生きていかねばならなかった。己の為にではなく、死者達の為に生きながらえることが使命となった。絶望的な清々しさを感じた。絶望を見た者でなければ芽生えることはないだろう美しい魂。幸いにも(といえるのだろうか)自分はまだ人間の惨死図を直視していない。しかしここで描写された光景は決して幻想でも残景でもない。かつて本当にあったこと、そしてこれからの未来(もしかしたら次の瞬間にも)起こりうることであることを意識せなばならない。殺戮の序曲は人為的な無関心に孕んでいる。この鎮魂歌を聴くがいい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2014年1月12日
- 読了日 : 2013年6月20日
- 本棚登録日 : 2014年1月12日
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