夏の花・心願の国 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1973年8月1日発売)
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常に死者の群れを幻視しながら生きていかねばならなかった。己の為にではなく、死者達の為に生きながらえることが使命となった。絶望的な清々しさを感じた。絶望を見た者でなければ芽生えることはないだろう美しい魂。幸いにも(といえるのだろうか)自分はまだ人間の惨死図を直視していない。しかしここで描写された光景は決して幻想でも残景でもない。かつて本当にあったこと、そしてこれからの未来(もしかしたら次の瞬間にも)起こりうることであることを意識せなばならない。殺戮の序曲は人為的な無関心に孕んでいる。この鎮魂歌を聴くがいい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2014年1月12日
読了日 : 2013年6月20日
本棚登録日 : 2014年1月12日

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