誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

  • 新曜社 (1990年2月1日発売)
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【デザインを新しい観点から語る】
原子力発電所の操作ミスや工場の爆発など、一つのミスが多くの人の命を奪ってしまうケースは、過去何度も存在している。また、身近なケースでも、間違ってファイルを保存せずにデータを閉じてしまったり、車のアクセルとブレーキを踏み間違えてしまったり・・・と枚挙に暇がない。

これらの原因は、殆どヒューマンエラーだとされ、デザインが悪い!デザイナーが悪い!という結論に至ることは殆ど無いのが現状だ。

しかし、本書によれば、人間が引き起こしてしまうエラーの原因は、デザインにもあるということを指摘している。

デザインとは、1)ユーザーが何をしたら良いかわかるようにしておくこと2)何が起きているのかをユーザーにわかるようにしておくこと。この2つが必ず必要であるとしている。

今、自分の身の回りの道具を見たとき、この2つの条件を完璧に満たしているものは、どれだけあるだろうか。

例えば、最新のテレビ。リモコンには、一生使用しないようなボタンが無数に取り付けられ、メインで使用するボタンを押しにくくすらしている。また、例え勇気を振り絞って、よく分からないボタンを押したとしても、何が起きたのか分からず、結局よく分からずじまいになってしま
う。

デザインに興味がある方や、これから商品企画に携わる、もしくは携わりたいという方は、必読の書である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心理学
感想投稿日 : 2012年12月16日
読了日 : 2012年12月16日
本棚登録日 : 2012年12月16日

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