斎藤美奈子曰く「「感銘本」は自意識を測る道具」だとか。★の数は自己に対して、★★★★★ジャストヒット、★★★★想うトコ大、★★★想像通り、★★いまひとつ消化不良、★期待ハズレ
hizzzさん
浅羽 通明
トランスワールドジャパン (2006年09月)
文学
会社と事件と堀江隆文に対する意見集。運営実態の不確かな企業体と、悲劇でも喜劇でもないグロなベタ事件と、背景を欠いたキャラとしてのホリエモン。社会状況や性格心理を語彙を尽くして熱く語る理想家と、淡々と事実だけを寸評するプラグマチィストの立ち位置が織...
宮沢 章夫
白夜書房 (2006年07月18日)
80年代初頭クラブ「ピテカントロプス・エレクトス 」を基点として「ラジカル・ガジベリンバ・システム」迄の80年代「かっこいい」を追求したサブカルスノッブの感性意識。ヤマトやガンダムといったおたくカルチャーに対する反発的無関心からくる、「80年代はスカぢゃ...
吉見 俊哉
筑摩書房 (2005年03月)
文化
近代知の可能性を誇らしげに歌った高度な理念テーマが、実際の企画運営や地域/産業/国家との政治折衝で、ことごとく挫折/変容していった「知識人」連敗戦歴。経済界のスーパー・プラグマチィズムとそれを軽蔑する知識人という埋まる事の亡い齟齬。動員される下部...
ダニエル リベスキンド Daniel Libeskind
筑摩書房 (2006年09月)
エッセイ
自伝的エッセイ。難解といわれる彼のコンセプトの源泉。「いつも建物を一種のテキストだと想し、読まれるべきものだと思っている」 一族がかかえる数多の歴史の記憶と、プロジェクトがひとつの具象として構築されていくさまが、具体的なエピソードを交えて螺旋のよう...
リービ・英雄
講談社 (2005年04月29日)
小説
馴れ親しんできた世界がある時バラバラになり、文化と異文化、人間と自然、生と死、国と土地、生理と不条理、轟音と静寂、始まりと終わり等、その断片と断片の間を戸惑い彷徨いながらも五感で思い様々な手段で吐き出すことで、又、それらを重層的に繋ぎ求めんと活き...
中野 隆生
山川出版社 (2006年09月)
日仏シンポジジウム「現代都市発展の社会経済史ー民衆生活・移入民・都市空間」ベースの論文集。近現代都市の発達と、移民等を含めた民衆流入の変遷が一通り纏められた中に、一番アクチュアルな場として、パリに於ける多様エスニシティの坩堝作用の考察がそえられる...
薬師院 仁志
光文社 (2006年08月12日)
右左を始めとして様々な政治「イズム」ジャーゴンの意味が各国で違うことを検証整理。民主主義のタイプを「米国型自由」と「仏型平等」の2つに大きく分け、仏の建国理念からくる愛国心と普遍主義の強固な結びつきを紹介しつつ、平等観念の薄い日本の現状と左派の破...
ジョージ・エインズリー 山形 浩生
NTT出版 (2006年08月30日)
科学
鼻先のニンジン、判断時の自分に最速に利益をもたらすと感じることで、将来的本利益とは関係なく目先の利益が過大評価されてしまうという現象解明。相対的利益よりも不利益な欲望に突き動かされるという、人がしばしば行う不可解を、指数でない双曲割引に見る理論で...
沖浦 和光
文藝春秋 (2006年03月)
被差別部落を堺にした遊里・色街=「悪所」近年の盛り場を、〈悪〉〈遊〉〈色〉〈賤〉をキーワードに歴史を辿る反権力としての場所呪力。 政治権力から疎外されていた町民と周辺の民が、近世文化の最前線を次々に切り開いた〈民〉が主導した大衆文化の豊穣な土壌の上...
橋本 健二
講談社 (2006年09月09日)
「格差とは経済問題ではない。『私には価値がある』という思い( 自尊 )を破壊することである」 価値ヒエラルキーとしての階級格差。戦後日本を、資本家階級(経営者・役員)/前近代的中間階級(農業・自営業主)/新中間階級(Wワーク被雇用者)/労働者階級(単...
羽海野 チカ
集英社 (2006年09月08日)
全10巻。学園ラブコメ少女マンガ。座学の総合大学ではなく、実技な美大という特殊装置に自己実現プレイヤー達を特異設定することで、現実にはありえないふわふわおきれいな仲良しピュア状態を作り出す。しかしその中ではハナシが滞る為に、プレイヤー達は卒業だジゴ...
スティーヴン・P. スティッチ Stephen P. Stich
勁草書房 (2006年08月)
認識論。開放的多元主義と相反する「信念」や「真理」を至上とした古典的命題へは、心的状態からくる場合の多い知識の正統特権性/合理性を廃した、目的に対するプラグマティク的評価基準でもって、あらためて複数選択としての概念的リソースを組み直そうとするラジ...
立花 隆
文藝春秋 (2005年12月10日)
歴史
上下巻。東大を起点とした明治〜昭和の「天皇制」観をめぐる相克の通史。膨大な資料を渉猟して、後世の我々が考えるより遥かに国民全体国粋的だったと結論づける。弾圧左派組復活の影で、現西欧主流の社会党右派が埋没してったことを戦後の特徴として指摘。世界は断...
南 伸坊
マガジンハウス (2003年11月)
有名人の顔面摸写した当人なりきりフォトコラム。養老孟司、宮崎駿 、猪瀬直樹、 村上龍、田岡俊次など、オニギリ頭にはやはりヲヤジがはまる。似てないのが多いが、ナ〜ニ気はココロで本人よりも本人らしい当人がたり。骨格筋肉、扮装外観、表情態度、思考、語彙パ...
島尾 敏雄
新潮社 (1981年01月)
猜疑心の混迷。いくら言葉を重ねて重ねて誓い堅くだきしめても、時間がすぎればそれが全て霧散する繰り返しの毎日。やがて緊張と弛緩の間にねっとりと絡み付く情念を見いだして、「絶対的な絶望」そこに依存していく苦悶嗜癖関係。もはやそこでしか救われない夫婦、...
新潮社 (2005年04月01日)
小説 『死の棘』の基。妻の発病〜夫婦入院〜奄美への転居迄。混迷を極めてたといっても、そこには日常や個々の創作の営みは断続的にも行われてはいた。というより、むしろ創作者として自己感覚を探求する者達(小説家と歌人)独特の情念の発散があって充実していたの...
エドワード・W. サイード Edward W. Said
岩波書店 (2006年08月23日)
昨今の多文化主義の乱用やアイデンティティ政治に警鐘をならしながら、自己の土壌である文化を常に意識的批評をもって真摯にテキストに向かう伝統的な文献学手法の擁護。デモクラシーの自由の一形態として批判を位置づけ、多様な世界と伝統の複雑な相互作用について...
米原 万里
光文社 (2006年08月24日)
世界のことわざで撫で切りにする時事世評。身もふたもない下ネタをごろんと剥き出しにする独特の語り口は、掲載雑誌「小説宝石」へのサービスも加わって倍増して、下世話なそれも封摂した生活の息吹をともなって使われていく、生身の言葉という媒体を強調する。
三浦 俊彦
青土社 (2006年07月)
対象現象にかせられた様々な制約をクリアして論理だてて思考を紡いでいく為の相対方式、選択と確立を骨子とした論理の論証。問題点を選択するというそもそもの始まりが、その論理を決定づける。思考センスがものをいう。論理レベルがあがるとギリギリと締められてく...
小阪 修平
筑摩書房 (2006年08月)
全共闘の私さがし。正規の議決機関なき全共闘は責任の所在不明で、原則的主張を繰り返すしか手立てを持たないゆえ妥協できない組織であり、その為状況のなかにのみこまれた。社会関係の中での自分の具体的在り方を問題に始まった闘争は、革命兵士たる個々の自覚や行...
松本 建速
同成社 (2006年08月)
古代日本にとって自らの裏返しの姿を映す鏡として「差別化」の為に、実態を無視して都合よくつかわれた「蝦夷」。土器、住居生産跡、気候の推移などの物質資料を基に、エミシ〜エビス〜エゾと呼ばれた擦文文化の生態を追う。東北地方に残された地名について、古代日...
集英社 (2002年10月04日)
少女時代の辛辣なユーモア溢れる舞踊教師のエピソードを追って60年代チェコ〜ソ連崩壊後のロシアの記憶と記録の糸を辿るにつれて、第二次世界大戦〜冷戦下の過酷な状況をすり抜け生き延びた市井の人たちの人生の繋がりが浮かび上がる。歴史上のこうした事件とは決し...
井上 寿一
東亜共同体(亜細亜主義)〜東亜新秩序〜東アジア共同体構想と常に一対であった対米関係。大東亜共栄圏は、自給自足の前提条件であった米国を排除したとこから崩壊した。日本は、アジア主義の立場を放棄した上で米国に受け入れられることを求めながら降伏した。かっ...
佐藤 優
新潮社 (2006年05月30日)
ソ連崩壊。単なる外交政治的側面よりも、国家イデオロギー/宗教/民族が流動化する局面に於いて、そのひとびとが帰依する観念的側面と生存手段の二極で全てが決まっていく有り様が、宗教は認められてない筈の社会主義国家内で二重構造としてしたたかに存在しつづけ...
田中 秀臣
日本放送出版協会 (2002年06月)
デフレ政策により、衰退したサラリーマン(公務員等を除き企業に勤務する者)がもたらす社会資本の縮小が全体の閉塞(マクロ的循環要因)に繋がり深刻化してると分析。デフレ圧力に起因する解決策としては、マクロ経済政策による総需要の拡大、インフレ・ターゲット...
三中 信宏
講談社 (2006年07月19日)
<b>系統樹思考の世界</b> /三中信宏<br>分野枠を越えた分類という営みについて 。従来のスタティクな分類ではなく多次元ネットワークとして、演繹や帰納の「真偽」 ではないデータと対立仮説との比較という認知心理学的手法(アブダクション)を使った進化する「最良...
桐野 夏生
新潮社 (2004年02月27日)
失踪作家の残した少女時代の監禁事件顛末と、そこから自覚し育て抜く「性的人間」妄想と真実の間、『グロテスク』に続く違和感で寄る辺ない女をめぐる欲望のハナシ。最初に侵入されるのは意識ではなく、あくまでも生活であり、生身の肉体。意識は常に後からのこのこ...
J.M. クッツェー J.M. Coetzee
早川書房 (2000年12月)
公私共に盛りを過ぎた大学教授が、欲望のままに流れ告発されるが、プライドをたのみとして自己破綻を受け付けず、地位と名誉を失う。その意味を知るのは、その後転がり込んだ先で娘に起こった事件処理の到底受け入れがたい理不尽さに生きることからである。「もっと...
速水 由紀子
筑摩書房 (2006年07月)
三浦展『下流社会』を批判し、「つながり」というキーで、グローバル・コミュニティ/ローカル・コミュニティ/オタク・コミュニティ/脱コミュニティ/非コミュニティの5つに分ける。が、結局はグローバル・コミュニティとその多様化に背を向ける人々の「つながり...
コンラッド 中野 好夫
岩波書店 (1958年01月25日)
居場所を喪失した上流貴族の、植民地主義を利用した自己優位権力確認のハナシ。西洋近代的理想自我を自明として完全知に魅せられ、おそらくはそれに駆り立てられ、未知=「闇」を支配しようとしてコンゴ奥地に入り込むが、その自明の存立基盤すら成り立たない「未開...
佐藤 直樹
青弓社 (2006年06月)
「精神障害者」 は、裁かれる主体であることによる人権の確立。「意志責任」か「個人責任」かの責任能力問題。近代主体「自由意志ー理性的人間像」を基本とした法律体系の中で、精神鑑定の欺瞞と、刑法39条(心神喪失)と心身喪失者等医療観察法(予防拘束)と他刑法...
ウィリアム・ベンゾン 西田 美緒子
角川書店 (2005年12月23日)
音楽にまつわる現象や美学人文哲学を認知科学でつないだもの。デカルト的孤独な個人に対して、原始ひとは音楽を原動力にして互いの脳を共振させ集団化して世界をつないで社会化していくという発想は面白いのだが、全編にわたり散逸的なままで纏りなく着地しない。社...
V.S.ナイポール 斎藤 兆史
岩波書店 (2002年09月26日)
人生はすんなりと始まるわけでもなければ、きれいに終わるまけでもない。出生/生育暦を含めて、核たるものに定まらない自己をかかえつつ別の自分を探し、出会う人々の虚実の中を巡り居場所を確立しようとするが、獏たるままな周辺に中途半端に時は過ぎて行く苦いハ...
水村 美苗
新潮社 (2002年09月)
上下巻。主人公がまとった視線にからまる執着と承認の濃厚な戦後大河ロマンス。承認されて初めてその生を生きる者と、承認することによって自己を生きる者が、ダイナミックな状況の変幻を通して重層をなす語りの構造から浮かび上がる様々な人物の生き様、その日常時...
上野 千鶴子
双風舎 (2006年06月26日)
雑多な抽象的考察集。バックラッシュ派は「多様性フォビア/不安のポピュリズム@宮台」で大体共有。が、用語「ジェンダーフリー」の是非については別れる。若年ヘイトフェミな「弱者男性」には触れ、フェミ的行動/理論言動でもフェミを避ける女性に触れないのはいか...
鈴木 由加里
平凡社 (2006年07月11日)
見た目至上主義 をキレイイデオロギーとし、それが支配する現状の実体験をまじえた化粧文化考察。化粧の効用の自己変身や見せたい自己演出のみでなしに、存在承認としてのみだしなみの流行美の抑圧に傷付いている筈なのに、他者に美のプロデュースを委ねるTV変身番組...
坂入 尚文
新宿書房 (2006年06月)
日常を抜けて非日常に旅商売する見世物〜テキヤ稼業交遊記。血と死のいかがわしき諧謔に魅入られた芸術家が、安定人生を捨てて見た人知れぬ領域と見果てぬロマン(芸術は見世物)が、その生の境界を交差し時間と他者が過ぎて行くさま。移動を重ねた者は物事にこだわ...
足立 信彦
東京大学出版会 (2006年06月)
欧州普遍主義と多様性=文化相対主義が引き起こす軋轢について。普遍をふりかざす欧州特権暴力か、多様性はインドのサティ風習等「〈悪しき〉文化」までをも容認するのか、この対立に秘む「救出者/解放者」たらんとする欧州自己像。個人ならば底なしの懐疑に、集団...
クレイグ ホールデン Craig Holden
扶桑社 (2000年03月)
少女失踪事件に端を発した、幼なじみ2人の刑事の生育からもたらされる秘めたる葛藤が生成した不条理な人間関係が、ミステリーと共に人生時間をいったり来たりしながら解きほぐされていくドラマ。人は正義/悪だけの価値では生きていくことが出来ないが故に、様々な...
ロバート フォグリン Robert Fogelin
春秋社 (2005年08月)
知的トラブルを回避する哲学の使い方。二律背反や行き過ぎた相対主義や懐疑論など言語=ロゴスの暴走でタコ壷に入って幻想や不満が空回りするような危うい知的生活には、随時現実を取り込んでならすという「思考を越えた制約」の下に思考を置くヒュームを下敷きにし...
吾妻 ひでお
角川書店 (2006年07月06日)
『失踪日記』その後のオマケ。「何もしてない」キマジメな日々がだらだら続くダメぶり。無頼派ぢゃあるまいし、だからナンなんだと言ってもしょーがない。本は『失踪日記』発売後の大反響で仕事的には上向き加減に終わるのだが、通常、鬱があろうがなかろうが、日常...
小谷野 敦
中央公論新社 (2006年06月)
流布されてるエピソードを手がかりに、谷崎に憑依し判るかぎり人生の隅まで味わおうとした著者の耽溺。谷崎の生涯を予め把握してる者向き。一生を貫くような思想的骨格構造などではなく、時々の細部で宿る生理的アウラこそが、人生を構成していくということか。人物...
集英社 (2004年11月26日)
中年女がやらかす場当たり的犯罪ハードボイルド 。破滅型で邪悪人生だが、徹底的に荒涼とした様が余計な思い入れを起こさせない程サクサクと描かれていて、それが不思議にここち良い。そこに「愛」「人生の無惨」「サバイバー」的ウエットを付加するも読者の想像力の...
神門 善久
NTT出版 (2006年06月24日)
地権者エゴへの迎合という馴れ合い的農地政策で自滅へ向かう日本社会の構造的欠陥を検証する。日本の農業問題とは利益誘導型の土地利用方法であり、食問題とは利便性を重視した消費者市民の責任放棄であるというところから、食と農を通して日本社会全体を眺める。
にんげん出版 (2006年02月)
正義なきアフガン戦争を契機に変貌し崩壊していくソ連情勢の分析。国家から個人へ、神話(理念)から事実へと、ゴルバチョフ政権以降に佐藤が出会った様々な人々を通した個と全体の関係の変遷が醸成される。国家には神話が必要であるとしながら、現在の否定神学な消...
リチャード バーン
ナカニシヤ出版 (2004年06月)
個体が単純な連合学習のルーチンワークで生存可能ならば、個体の創造性は殆ど必要でない。このことから二足歩行が可能にした道具使用という「技術(モノ)的知性」ではなく、集団生活での相互関係作用=「マキャベリ的知性」権謀術策のために知性は発達したという仮...
アンドリュー ホワイトゥン
ナカニシヤ出版 (2004年10月)
我々が依存している高度な知性は相手を社会的に操作することの必要性に由来するという、「マキャベリ的知性仮説」を押し進める8年間の新たな研究トピック論文集。ヒトの心の構造は進化の産物であるという視点から、現代生物学の知見を応用する進化心理学の立上がり。...
鄭 義 鄭 義
朝日新聞社 (1999年09月)
樹齢四千年の巨木が鮮やかな幻想をふりそそぎながら開花して死者が蘇り、過去と現在を交錯しつつ抗日戦争から現代に至る大河物語の扉が開かれる。神樹にいだかれた土地で営まれる欲情と死が神話に次々と飲み込まれるさまが、幾重にも重なった豊穣なイメージの波とな...
戸坂 潤
マル哲学者、1932〜37年の時評文。日本型ファシズムの本質は新しいものではなく、一介の勤労中間層である「官僚」が社会的役割と社会的待遇の矛盾の中で社会的地位を求めて、明治以来の封建的残存要素を基盤として利用することで成立した背景や、二二六事件以通用し...
A. アンベール 高橋 邦太郎
講談社 (2006年07月11日)
幕末、通商交渉で来日し18ヶ月滞在したスイス人時計業組合会長の見聞録。1858年の不平等通商条約の最大の誤りは、二つの文明が継続的かつ平和的に共存し得る可能性を暗々裏に認めたことであるとし、名目上の権力が寄り集まった封建連合政体である日本にとって、欧州...
佐野 眞一
平凡社 (2006年06月13日)
戦後最大の成功経営者にして戦後最大の失敗経営者であった中内功の追悼集。中内の伝記的ドキュメンタリー本『カリスマ』の補講か。前作以降、急変をとげる流通変革事情への踏み込みは弱く、感傷的に同じネタが繰り返し使われる冗長。吉本隆明の寄稿はトホホ。80年代...
(2006年06月00日)
ドレフュス事件を契機に、自己をマニュフェストした「知識人」のテクスト分析。近代以降、文人/詩人/芸術家の特権階級で占められていた知のカテゴリーに、産業革命で急速な進化を迎えた「科学者」が加わったことで、大文字の科学としての「教養」ヒエラルキー構造...
稲垣 恭子
人文書院 (2002年05月)
近代教養主義、エリート文化の副産物として、教育(統制)を媒介にして組成された身体や感情の反抗形態の誕生と変遷の論文集。政治抵抗運動のカウンターカルチャーだけでなしに、支配文化のバリエーションとしての従属/非従属サブカルチャーなども含む。
星野 智幸
講談社 (2005年06月18日)
理想という名の無責任に空虚な自らを埋没させた形式主義者が、無自覚なまま家族関係に憑依し、お互いを利用しつつ劣化コピーを繰り返しながら反政府活動家としての生に拘泥するも、なおも家族の復活というパターナリズムに乗っかって、結局は弱者的立場の他者を同化...
米本 昌平
ゲノミクス/プロテオミクスの技術革新からズレるバイオエシックス(生命倫理)の限界からバイオポリティクスへと転換する現状。自己決定の個人主義的自由を重要視する米と、人体的自然の公共管理として政治化する仏、臓器ツアーで産業医療化するインドなど。また、...
小田中 直樹
筑摩書房 (2006年06月)
大塚久雄をキーにして、ネオリベや脳・認知科学のピンカー迄、自ら立てた規範に従い自らの力で行動する「個人の自律」とそのエートスを巡るポスト近代主義の「賞味期限切れ」問題の通論。自律を求める他者啓蒙(教育)の矛盾については、「批判(検証 )」と「他者(...
ジェームズ トービン James Tobin
芙蓉書房出版 (2006年06月)
伝記
うつ気味で安定無き私生活と引き換えるかのように、戦争を嫌いつつもその魅力に惹かれて、戦地に漂流していきながらも、「僕は本当は手紙の代筆屋なのだ」といい、戦争とはどんなものであるかを伝えることで「GI神話」に貢献した従軍コラムニストの伝記。
小松 秀樹
朝日新聞社 (2006年05月)
「人は必ず死ぬ」という大原則により、医療は究極的には失敗するという基本を忘れがちな過大期待と安全コストの増大が引き起こす問題を、医療過誤と警察介入という現象をもって、過重負担にさらされる看護師/医師が臨終現場から次々「立ち去る」為に、特定科〜病院...
園田 一亀
平凡社 (1991年09月)
江戸初期、難破し沿海州に漂着した越前回船の漂流民が、北京に連行されて見聞きした建国動乱期の清朝見聞から帰国過程に対する江戸幕府に依る尋問録と、園田一亀の戦前検証論文。
フィリップ ポンス Philippe Pons
筑摩書房 (2006年03月)
社会秩序のネガとして貧困と犯罪と差別偏見で「周辺化」される非定住者達を、非社会化して流動するままに散り物いわず秘そむ下層貧窮者(河原者・漂泊民/部落民/ドヤ・路上生活者)の拒絶と、反社会化で権力を誇示し社会と取引きしながら団結抗争してくヤクザ(博...
川合 伸幸
北大路書房 (2006年06月)
「知的」行動はモジュール化し階層的に積み重なって多領域に関係することで進化することを、様々な昆虫/動物生態実験を通して、動物もヒトも変わらぬ認知過程を浮かび上がらせた入門書。結果よりも、どのように認知を計るのか実験を含めた思考過程プロセスそのもの...
飯島 洋一
青土社 (2005年12月)
近代から合理化され大衆化されたイメージの反復性と複製性による「アウラ」破壊の現代。その一過性消費による空虚な断絶をひたすら嘆く、悲観。グランドゼロ=「○○は終わってる」的な「現代思想」お得意の自虐テーマの抑鬱的追憶反芻に、喪失欲望へのエロス耽溺満載...
遠藤 秀紀
光文社 (2006年06月16日)
進化とは、手近なパーツのいきあたりばったりの設計変更の積み重ねであるとし、そうした設計変更の中でも脳を巨大にしたヒトは最大の失敗であるとする。先端先鋭化するホットな部分=分子生物学に対して、遺体は知の宝庫とする著者の検証学は、失敗学にも通ずる、実...
勁草書房 (2005年12月)
上野千鶴子から三浦展迄学際的な論も含む「賞味期限切れ」概念の論文集。複数の私という視点に到達する為に近代的自我同一性文化=言語に苦闘するさま、ご苦労様。学問アイデンティティの渦中な論者達の自己昇華言及? いやだからこの地では、言語外文化な下々は常に...
マーク・ブキャナン 阪本 芳久
草思社 (2005年02月25日)
社会に見られる様々なノード/クラスターに関する現象を、ネットワーク理論で平易になめて確認してく解説本。良くも悪くもひたすら事例検証が主で、ネットワーク理論的にはその結果として特段目新しい説に発展しているわけでもなく、良心的だが単調な繰り返しの連続...
アルマン・マリー ルロワ 上野 直人
みすず書房 (2006年06月)
神話や史実を含め「奇形」を怪物扱いした発生原因論争の昔から、遺伝子多型まで、身体の仕組みをめぐる科学と社会の偏見の溝にせまり、我々は皆ミュータントだと見地。「差異」事象をキーに科学し、喪失と獲得の意味を再構築して、文化社会に橋わたししようとする本。
エマニュエル・カレール 田中 千春
河出書房新社 (2006年06月08日)
ひげをそったことから存在世界に亀裂がはいり、その悪夢に見入られる。欠落した存在を亀裂部分に求め意識すればする程に、これまでの認識世界と除々に拡大してく亀裂の合間の矛盾。所在をますます喪失させながら、日常とアイデンティティをさまよう、Dazed And Confu...
笙野 頼子
河出書房新社 (2006年04月21日)
女性作家矯正クラス逝きのブスを芸能化芸術化して超越的なブ貌で誇り高き糞婆がキレ子となり、知感野郎&イカフェミから共同体内充足する権力/反権力迄、片っ端から戦闘拡大する徹底したイロニー狂気炸裂。が、この虚実の皮膜を判らないですませようとするカッコ悪...
J・P・トゥーサン 野崎 歓
集英社 (2003年11月05日)
刹那は熱く切なく、でもそれが理性には滑稽で冷たく、そんな劣情と客体をいきつもどりつつ繰り返しながら、終わりをひとつひとつ確かめる為に、愛しあう。
夏目 房之介
実業之日本社 (2006年01月19日)
学問研究から文芸創作に移った祖父=「文学」カルチャーを、漫画をカルスタする孫=成果を楽しく消費するサブカル&カルスタが、時にはその背景の違いに苦渋しつつも、ひと通り読んでみた体験記録。「文学」も自分の読後感も、時代と社会が移り変わっていけば、ちが...
カズオ イシグロ
早川書房 (2006年04月22日)
欠落してく使命を架せられ育てられた無機質な者たちが、成長する過程で様々に関係をさぐりあい躊躇することを深く突き詰めることによって信頼=希望=理想が醸成していくさまと、その具現に近付くことで喪失に至る孤独を知って死に向かう感情の振幅に表れる人生への...
斎藤 環
中央公論新社 (2006年05月)
「戦闘美少女」環が「負け犬」順子にツッコミいれる異文化交流。環、自説&自己吐露を次々開陳して肉薄するも、肝心のトコ=性愛も含めて、始終、そういうこともあるかしらん的にどっちつかず的にボケた距離をとられて、スルスルと話題は移って、おしまい。
ケン オールダー 吉田 三知世
早川書房 (2006年03月23日)
仏革命下、悲観的な理想家と現実的で楽天家という対照的な2人の科学者が引き受けた国家的大規模ミッションとなった度量衡制定が引き起こすドラマ。標準理念と誤差を科学の宿命として、不確実の定量化表現に至る科学史。
渡辺 信一郎
新潮社 (2002年11月)
江戸庶民文化のケ(公=ハレにされない部分)の世界のひとつとして、雪隠をめぐる排泄まわりの「喰うて糞して快美て、死ぬるまで生きる命」な風俗を、数多の古川柳からひろっていく。熾烈ながらも達観諦観なシャレに垣間見える、生きることそのものへのリアリティの数々
池内 恵
文藝春秋 (2006年04月)
イスラーム専門家に依る書評集。単に一文化へのいざないに終らない、むしろ「文化」という意味そのものの真を貫くような深淵さを随所にもつ。「古典がわかりにくいのは、問いの難かしさと共に、その問いが発せられてる条件が理解されない」という著者の記述に対する...
末延 芳晴
平凡社 (2005年12月07日)
存在そのものをまなざしとして、ひたすら歩き見つめ「書く」荷風が生成される原点としての「あめりか」体験。米国での恋愛と仏の自然への憧憬を断念しつつ、精神は仏&モダンアメリカを、しかし生活実践は日本&日本語という自己内所属を選ぶことで「書く」ことをつ...
ミラン・クンデラ 西永 良成
集英社 (2005年10月26日)
ヨーロッパとは最小の空間の中の最大の多様性であることになぞらえて、人生=散文を、欺瞞的に美化聖化し覆い隠している宗教/イデオロギー/歴史/社会・文化的伝統・教育/世界解釈・認識という人為的「カーテン」を引き裂き、人間の本質と不可分の喜劇性(卑俗/...
ウェスト・マリン 戸田 裕之
河出書房新社 (2006年05月20日)
あまりにもベーシックな日常すぎて知ってるようで実はなにも知らない「水」に関する様々な深淵な諸相。古代神話・土着文化/哲学/科学を網羅して変幻自在にそれらの概念の中を流れて行く「水」、地球生命の起源ともなるそれは「宇宙の介在者」と位置付けられる壮大...
仲俣 暁生
原書房 (2006年05月)
60年代生インタビュー集。キャッチのひとつ「〈所属不明〉であるために、移動しつづける」に、震撼。各人の現在の活動/イデオロギーの表象は違ってても、その根本動機はそこにあったかと。同時代を様々なカタチで越えて(抵抗して)きた者達の共通概念が「ことば」...
榎本 知郎
京都大学学術出版会 (2006年05月)
ヒトがどのように巣づくり行動を進化させ、それを「家づくり」に押し進めた状況はなにかを、但の「ねぐら」ではなく子供を産み育て外敵から守るシェルター機能としての巣=家を欲したことが第一として、鳥〜ヒトに至る繁殖/衛生/言語/行動/進化等を人類学的切り...
渡辺 京二
平凡社 (2005年09月)
幕末〜明治初期に来日滞在した幾多の西洋人訪日記に残された異文化=江戸人の実相。そこから国民国家や湿っぽいロマンではなく、風土と歴史の積分上に立つ因縁の自覚から、前代「文明の滅亡」(隠蔽)を土台とした近代化という「文化の変容」を表す。
津金澤 聰廣
世界思想社 (2006年05月)
西洋楽器と日本調歌謡の融合という和洋折衷方法論が大衆に受容された過程を、従来「文化史」としてはどちらかというと無視されがちな宝塚歌劇とその諸相(少女文化、レビュー、国民歌運動、地域文化)波及の多大なる影響効果をもってして、日本音楽文化史の中に位置...
みすず書房 (2006年04月)
キリスト教裕福層貿易商出自で英語記述し続けるサイードは、ユダヤ人からはテロシンパと、イスラームからは「オリエンタリズム」批判を受け続ける。そうした矛盾を引受ける少数者であることそのものを正義とする、ねじれた立場にあえて?在り続ける者たちを「故国喪...
西川 長夫
平凡社 (2001年02月)
固定断片的リソースによる静的比較文化論がもたらす偏見差別の弊害を回避し、変化/流動/移動による融合や排除等の動的生態こそ文化とし、それを捉えようとする観察者自身も同時に動いていることを重視。それを、従来の学問権威=「国民文化」に対して、各自の独自...
大室 幹雄
岩波書店 (2001年12月14日)
史記・滑稽列伝を下敷きに、中原の国から国へと放浪し都市に流入する食客たちを「異人」とし、為政者への恫喝あり説教あり蘊蓄あり屁理屈ありの様々なコンサル売り込みへらず口=滑稽を「芸能(演劇集団)」として生態を追う。
中村 隆文
集英社 (2006年03月17日)
中上流階級の書生文化&女学生文化をコンパクトに整理しつつ、明治期輸入された「恋愛」という哲学概念が、男女交際という実践に於いてどのように解釈されていったかの系譜をたどる。
内堀 基光
葫蘆舎 (2006年03月31日)
アジア(含日本)&アフリカの様々な民族風習を特集。特別な知識を必要とせず、読みものとして楽しみながら文化人類学に親しむことができる。以前ナショナルトラストが季刊発行してたが、この程トヨタ財団から、判型も改め復刊した。
上山 安敏
岩波書店 (2005年07月22日)
西洋啓蒙主義が内在する反ユダイズムと、その中での知識階級ユダヤ人の二律背反から超越して共生しようと、ドイツでアクロバット的に生み出された「近代資本主義」科学と世紀末神秘主義の宗教思想的プロセスの検討。
材野 博司
鹿島出版会 (1997年11月)
回遊式庭園に見る空間の連続的変化としての「シークエンス」を通して、地域空間のアイデンティティ「〜らしさ」は、場所的空間群を育成させる容器として生成される。場所と地域のシークエンスのそうした循環を、人が動いて知覚体験してくという都市論。
海保 嶺夫
講談社 (2006年02月11日)
「日本」という枠を考える上でのひとつのタブーとなってきた北方(擦文文化圏)史。エゾはアイヌだけに断定されるものではない。本書は、中・朝・露を含めた環日本海に展開した渡党/日の本/唐子といった漂泊民の生活活動圏が「国家」という枠で分断され「均一化」...
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