この本の内容は帯のこの一文に表れている。
「いい女を抱くためだけに、私は大金持ちになった」
50歳下の愛人に大金を持ち逃げされ話題となった著者が自らの半生を語る自伝である本書は、とにかく全ての文章が冒頭の一文に収斂するという点で、究極のミニマリズムを感じさせる傑作となっている(本書がゴーストライターによる作品であるかどうかはどうでもいい。STAP細胞はあるという人がいれば、この世にあるのだ)。
僕は、自らがスケベジジイであることを、中学生レベルの文章でひた隠しにしようとしつつ、その低能さが露呈する渡辺淳一よりも、著者の方が人間として1,000倍は真摯で素晴らしいと思う(余談だが、札幌市にある渡辺淳一文学館は、いつか爆破されるべきであると思っている。札幌市民の良識に期待したい)。
著者が女子大生をナンパする際に口走る「ハッピー・オーラ、ハッピー・エレガント、ハッピー・ナイスボディ。あなたとデートしたい、エッチしたい・・・」は、まさに「声に出して読みたい日本語」の典型例であり、我々は日本語表現の豊かさを再感することができる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年9月24日
- 読了日 : 2017年9月10日
- 本棚登録日 : 2017年9月24日
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