特攻隊長として自らの死を予期しつつも、結果訪れなかった特攻命令により、生き延びることとなった島尾敏夫の短編集。
表題作の「出発は遂に訪れず」では、その模様が揺れ動く心理描写と共に克明に描かれる他、デビュー作である「単独旅行者」では、自らのレーゾンデートルがどこにあるのかがわからない不安感から、行くあてのない旅を続ける主人公の姿が、当時の作者の心理状態を表しているように見える。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2017年9月24日
- 読了日 : 2017年7月19日
- 本棚登録日 : 2017年7月9日
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