「村会春樹 翻訳ほとんど全仕事」を読む中で、再読したくなり引っ張り出した一冊(のはずが、保有していることをすっかり忘れて二冊目を買ってしまった)。
「都会のフェアリ・テイル」とも称される表題作は、ホリー・ゴライトリーの奔放な自由さが魅力的であると同時に、その奔放さを生み出すエネルギーとして幼年時代の悲しさが、心を打つ。こうした両面性をこれだけのソリッドな文章の中で描けるカポーティの文章力は、やはり何度読んでも感銘させられる。
個人的に好きなのは、ラストに収められた「クリスマスの思い出」であり、カポーティの作品で1つ選べ、と言われたらこの短編を選ぶかもしれない。少年期の持つイノセンスさを、彼はなぜここまで結晶化された形で描くことができたのか。カポーティの才能の神髄はこの鋭すぎる感性にあったのだということを改めて実感する。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2017年5月21日
- 読了日 : 2017年5月21日
- 本棚登録日 : 2017年5月21日
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