望み

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年9月5日発売)
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本棚登録 : 1659
感想 : 273
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小説を読んで落涙したのは、いつ以来だろうか・・・
同じような少年犯罪を扱った作品に、薬丸岳著『Aではない君に』がある。
『A』が、犯罪を犯した少年の父親の苦悩を描いているのに対し、本作は、加害者なのか被害者なのかわからない立場の両親の懊悩に焦点を当てている。
加害者でもいい生きていてほしいと望む母親に対し、父親は息子の無実を信じ、また世間との兼ね合いから被害者であってほしいと望む。
事件を巡って、娘を含めた家族へのバッシング、無責任なうわさが拡散するSNS、取引先の豹変等々。そして事件は終幕へ・・・
作者の筆力に絡めとられたまま、読み終えた。
中高生を持つ世代の読後感は、自分の子供に限ってこんなことはないという安堵感か、それともこんなこともあり得るかもとの不安感か。
読者に、家族のありようを問いかける感動作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 推理小説
感想投稿日 : 2016年11月25日
読了日 : 2016年11月24日
本棚登録日 : 2016年11月25日

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