歴史学の立場から、浄土真宗について、開祖親鸞やその家族、継承者らの信仰の実態を明らかにしている。
これまで浄土真宗の開祖として理想化するかたちで語られがちであった親鸞、そしてその家族・継承者について、史料に基づいて、他力に徹しきれず、理想と現実の間で揺れ動く等身大の姿を描こうとしているところに本書の特色がある。
本書を通じて、宗教者といえども、完璧ではなく、迷い、揺れ動く人間なのだということを感じた。また、本書は、臨終行儀への着目など、歴史学研究としても水準が高いものだと感じた。
ただ、「浄土真宗とは何か」と表題を掲げているにしては、必ずしも教義どおりになっていない歴史的実態を明らかにすることに力を入れ過ぎ、肝心の浄土真宗のそもそもの教義・思想についての記述が薄いのではないかという気はした。また、終章の最後で「親鸞の教えは、現代社会における諸問題解決の糸口になるかもしれない」とまとめられていたのは、非常に唐突に感じた。
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- 感想投稿日 : 2017年5月25日
- 読了日 : 2017年5月11日
- 本棚登録日 : 2017年5月25日
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