高校生への授業形式の解説をもとにしただけあって、かなりざっくりしたところはあるが、『資本論』のポイントが、いつもの池上彰口調でたいへんわかりやすく解説されている。また、『資本論』を読んでどう受け止めるかを読者に託すなど、『資本論』を扱う書物として中立的であろうとしている姿勢にも好感が持てる。
『資本論』の内容そのものについては、そもそも労働価値説に疑問があり、この本を読んでもそれは変わらなかったが、一つの考え方の前提としてそれを受け入れたとしたら、資本主義社会での労働者の状況をよく説明できる理論ではあると感じた。確かに、現代にも与える示唆は結構あると思った。
それにしても、池上氏も強調しているとおり、「該博な知識の披瀝、華麗なレトリック」にあふれたマルクスの文章はわかりにくいと思う。簡単に説明できることを、わざとわかりにくく書いているように感じる。その点で、本書のような本はとてもありがたいと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年3月13日
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- 本棚登録日 : 2015年3月13日
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