歴史人口学研究: 新しい近世日本像

著者 :
  • 藤原書店 (2009年10月1日発売)
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明治以前の日本の人口の変動や経済活動を、個人の宗派を記載した宗門改帳を基に紐解く。難解な専門書だが歴史的な事実のデータと解析結果が散りばめられており興味深かった。
・冬期間雪に閉ざされる東北日本は結婚年齢は低いが出産数が低い。世帯内の生産年齢人口の比率を最大にして経済危機から逃れるべく行動をした。
・中央日本は冬季も農業生産を続けることができ、都市化が進み雇用機会は多かった。農村で生まれた都市へ奉公に出て住み着いたので、地域としては人口は増大しなかった。
・西南日本は農村部の人口を吸い上げる都市が十分発達しなかったので、人口圧にさらされた。藩レベルでは、長州藩や薩摩藩のように藩主導で経済活動を積極的に行った。徳川幕府への反乱勢力が西南日本の地域に多かった背景に、この人口増大の圧力があったのでは、と著者は考える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2011年12月13日
読了日 : 2011年12月13日
本棚登録日 : 2011年12月13日

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