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じゅんの部屋(じゅん)


矢印

じゅんの部屋»

本の雑誌社の「たなぞう」で読書記録をつけていたのですが、9月に終了とのことで、引っ越してまいりました。 娘2人が就職や進学で家を離れ、夫と猫二匹との生活なので、おいおい、いいのかよ?というくらいに本を読んでいる毎日。 仕事は、自宅で中高校生のための個人教師をしています。また、地元の単館系映画館で出している月刊誌に、毎月、映画の紹介文や監督さんのインタビュー記事などを書いてます。どちらもとても楽しいです。 本についてのおしゃべりが大好きです。 どうぞよろしくお願いします!

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僕らのご飯は明日で待ってる

瀬尾まいこ

/ 幻冬舎 / 2012年04月25日 発売



ずっと「黄昏れている」高校時代を送っていた葉山くんに、体育祭の米袋ジャンプのペアを持ちかけた上村小春。誰もペアになりたがらなかったんだよ、あなた暗いから、と言ってのける彼女だったのだけど実は…。(*^_^*)


兄の死を引きずり、ずっと自分の周りに膜を張りめぐらしていた葉山くん。
小春との噛み合っているのかいないのかよくわからない会話がとても楽しかった。

「死んだ人の出てくる話ばっか、読んでるんだね」と浅見光彦シリーズを三十冊も持ってきてくれる彼女。そのピントのずれ方が功を奏して、葉山くんの心持ちが変わって行くところが優しくて、瀬尾さんらしいなぁ、と。

葉山くんは大学に入って、新しくできた友人たちから「イエス(キリスト)」と呼ばれる。彼がなんでも許容するから、なんだけど、それは葉山くんが優しいからなのか、人に関心がないからなのか。彼は冷たい人ではないと思うんだけど、どっか、オカシイところがまたいいんですよ。

葉山くんと小春の関係が、高校・大学・社会人と変わって行くんだけど、お互いをよくわかりあえているところが得難いコンビなんだなぁ、と嬉しかった。

小春の名言の一つを引用しておきます。
ありきたりのことを言っているのになんでこんなに可笑しいんだろ。(*^_^*)

「大学は楽な場だと思う。自由がおおっぴらに与えられてるんだもん。大学入っちゃえば、自分を探すとか言って突然リュック一つでインドとかタイに行ったり、地球を守るとか言って突然浜辺で空き缶拾ったり、自由がすべてだぜって言って突然自主映画作ったり、何か知らないけど無農薬野菜作ったり、絵とか詩とか描いて道で売ったりできるんだし。」

なんかすっごく、いい気な(*^_^*)奴らを可愛くコケにしているところが好きなのかもね


2012年05月31日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月31日)

道化師の恋 (河出文庫文芸コレクション)

金井 美恵子

/ 河出書房新社 / 1999年07月 発売



とうとう4部作をコンプリートしちゃいました。
凄い満足感!!\(^o^)/

以前に書いた感想にも、何回読んだかわからないと書いてあるくらいだから、ちょこちょこ本棚から取り出して立ち読み(*^_^*)しているのまで合わせると凄い回数になっているんじゃないかな。

先月は、実生活から浮遊した楽しみの中に入ってしまっていたので(あはは・・なんか意味深ですね。なんてことない話なんだけど。(*^_^*))頭の中がふわふわとおぼつかなくて、本を読んでいてもなんかしっかり響いてこない気がしたものだから、金井さんから活を入れてもらった、という面も。(*^_^*)
うん、ようやく現実の世界に戻ってこれた感じがします。

↓は以前の感想です。


目白4部作の4作め。

何回目なのかわからないくらい読み返しているのだけど、すぅっと身体になじむ文章が気持ちいい。「文章教室」のその後がメインで描かれていて、いつものことながら、ディテイルにこだわった描写やあっちこっちに飛ぶおしゃべりがとても楽しい。

この巻だけに登場する、早稲田の学生でたまたま一冊の小説を書けてしまったハンサムな男の子の線の細さが面白い。また、そのお母さんときたら、もう、これは金井美恵子さんお得意の、人がいいけど押しの強い、つまり身近な「母親」でおかしかったり、ちょっとイラついたり。

「文章教室」の絵真さんは、美しいながらも落ち着いたお祖母ちゃんになっていて、その娘の桜子も、自分で鏡を見ながら「大島弓子の漫画のよう」と自らを感じるほど、やはり美しい・・。
あんなにすったもんだで結婚して、優雅な生活を送っていたのに…なのだけど、金井さんの手にかかっては、うん、それもありかもね、となるのが嬉しい。

「タマや」の夏之さん、アレクサンダー、そして、作者を思わせる目白の小説家がちらっと出てくるところは読者サービス?いえ、文庫本のあとがきで自ら、「書きながら考えていたより、よほどグロテスクな意地の悪い小説」と言われているくらいなのだから、これも、やっぱり・・・なのかも。


2012年05月31日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月31日) |

文章教室 (河出文庫―文芸コレクション)

金井 美恵子

/ 河出書房新社 / 1999年05月 発売



あはは・・・もうなんて面白い“小説”なんでしょう。

目白4部作って、一冊読むごとにこれが4冊の中で一番面白いんじゃないか、と思わせられるところが素晴らしいというか、オソロしいというか。(*^_^*)

この「文章教室」では、モノを書くことに目覚めた(っていう言い方、イヤだなぁ。(*^_^*))主婦の絵真が折々に書き散らすその時の気持ちの引用と、実在のプロ作家や架空の作家たちの文章の抜粋が、すごぉ~~~~~く陳腐で恥ずかしいくらいに見えるところが、居心地の悪い気持ちよさ、って感じ??
だって、村上春樹の文章まで、なに、お気楽なこと言ってんのよ、あんた? くらい言いたくなってしまうんだもの。(大汗)

ホント、金井さんと言う人にはコワいものは何もないんでしょうね。

私も絵真と同じく、もう大きくなった娘を持つ主婦で文章を書くことが好きで、と、でも私は絵真じゃないもん!とそっと辺りを見回して確認したくなるのもまた自虐的な気持ちよさ??

とにかく、出てくる人たち全てがスノッブで、もちろん、好きになれるはずのメンバーではないにも関わらず、嫌いにはなれない、というこの絶妙な匙加減には参ってしまう。

そして・・・・今回、もう何回目になるかわからいくらいの再読なのだけど、絵真の書く、いかにも、の文章が、これまでとは違って、うん、いいじゃん、これって上手な文章なんじゃないの??と思えてしまったところが面白かった。
これは私が年を重ねて“素直”(*^_^*)になったっていうことかも??なんて、これもまたアハハなんだけど。


2012年05月30日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月30日) |

あした 慶次郎縁側日記

北原 亞以子

/ 新潮社 / 2012年04月20日 発売



人生って。。。ずっと続いていくんだね。このシリーズを読むたびに思うことだけど。



みんなそれぞれの思いで日を送っているのに、なんでうまくいかないんだろう・・。
よかれと思って頑張ってきたことが、どこかで掛け違っていたり、そもそも、一所懸命の方向が間違っていたり、うん、考えが甘かったりの場合も。

でも、じゃあそれでもうその人はダメってこと?とはならないのが、この慶次郎日記の優しさなんだよね。慶次郎にも、慶次郎を取り巻く人たちにも、どうしようもないことはあるけれど、それでも少しだけは手を貸してやれるし、それでもしかしたら、この暗い目をした人が少し違った道を歩めるかも・・と思わせられるところがこのシリーズが長く続いている所以なんだと思う。


2012年05月28日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月28日)

タマや (河出文庫)

金井 美恵子

/ 河出書房新社 / 1999年06月 発売



目白4部作です。あぁ、どうしよう、もう抜けられない・・。(*^_^*)

面白い!!\(^o^)/ なんかもう小説として反則でしょっっ!というくらい偶然に偶然の出会いが重なるんだけど、そこまでいくともう好きにしてちょうだい、と感嘆してしまうくらいの小気味よさ。


あとがきで、金井さんご自身は、モデルになった人々が実在することを明かし、「そんな“素材”をどう扱ってどう書いたらいいか、ということが作者のこの小説を書く一番の興味でした。ですから、これを書くことによって、作者である私は『小説家として成長することになった』と自負しております」なんて書いておられるんだけど、なんか、そこまで含めての金井ワールドじゃないのぉ???と、つんつん、突っつきたくなってしまう。(もちろん、金井さん御大にそんなコワいことはできませんが。)

自称カメラマンの夏之さんが、ちょっと因縁ありのツネコの弟・アレクサンドルから無理矢理押しつけられたお腹の大きい猫・タマを中心として巡る話なんだけど、私の大好きな桃子・花子・小説家のおばさんはもちろんとして、夏之さんの忘れっぽいお母さん、京都の精神科医である弟・冬彦、その他、あっちからもこっちからもトンチンカンな人々がやってきて、そこに「ネエ、ネエ、あたしって死ぬんじゃないかしら」と訴える(ように聞こえる)タマの鳴き声が重低音としてずっと響いているという…、賑やかなのか、哀調を帯びているのかわからない、うん、いいなぁ、金井美恵子って!!と読むたびに思ってしまう。

こんな風に何度でも読み返したい本がしっかり手元に確保できている、ということは本読みとして案外、僥倖ものなのでは?と、あはは・・誰に対してかはわからないけど感謝いたします! (*^_^*)


2012年05月28日 | コメント(2) | 読み終わった (2012年05月28日) |

小春日和(インディアン・サマー) (河出文庫―文芸コレクション)

金井 美恵子

/ 河出書房新社 / 1999年04月 発売



先月、ついうっかりと(*^_^*)「彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄」を再読してしまい、続けて今月には「快適生活研究」にまで手を伸ばしてしまった、ときたら、これはもう目白4部作に行くしかないでしょう!(*^_^*)

ということで・・・

もう、何度めになったかわからない程大好きな、桃子と花ちゃん、小説家のおばさんのぐだぐだ&辛辣なガールズトーク物語であります。

金井さんの文章の持つ力と怜悧さ、苦温かいといった空気感、とにかく大好きです。

今回は、大学を出て10年目ながら相変わらず紅梅荘でうだうだしている桃子⇒その後実家に戻り、曲がりなりにも就職が決まった桃子、と読んできて、そもそもの始まり、浪人を経て大学生活が始まる桃子の話へ戻ってきちゃいました。
こんな桃子が、その後、どうなっているのか、を知りながら読み返す大学生の桃子、というのも、また一興でした。
そして、折々に“おばさん”が発表する小説やエッセイが、いかに桃子の存在やおしゃべりからヒントを得て書かれているか、がゆっくりと検証(*^_^*)できたことも嬉しかった。
うん、こういう楽しさって再読ならでは、だよね、なんて。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以前に書いた感想です。(*^_^*)



目白四部作の代表作!(*^_^*)

大学に入ったばかりの桃子は、新潟から出てきて小説家のおばさん(これって金井美恵子本人だよね)のマンションに同居中。
大学でできた口の悪い友だち・花子(大好き!!)と共に過ごす自堕落な日々がたまらなく愛おしいです。


「お母さん、ず~っとその本読んでない?」と娘から言われてしまいました・・・。(*^_^*) (*^_^*)
そうなんですよ、何度も何度も読み返しているし、
「読んでるとき、すっごく嬉しそうなんだけど…」とも。
おぉ、よく見てくれてるじゃん!
お母さんは、この19歳の桃子と花子が大好きなんだもの!

文庫の解説(斉藤美奈子)によると、
この「小春日和」は、少女小説なんですと。^^;
「秘密の花園」「少公女」「あしながおじさん」…・???
(*^_^*) (*^_^*)
家庭的に不幸で、女同士の友情に厚く、元気に飛躍する女主人公!
随分、ゆがんだ少女小説だけど、そんな捉え方もまた楽しいです。


2012年05月28日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月28日) |

エムブリヲ奇譚 (幽ブックス)

山白 朝子

/ メディアファクトリー / 2012年03月02日 発売



まだ人に知られていない温泉を求めて(たぶん)江戸時代の日本を歩き回る旅の指南書書きの和泉蠟庵。


そっか、この山白朝子という人は、乙一(ということは、中田永一だぁ~~!)なんですね。

独特の怪しい空気の中、蠟庵と荷物持ちの2人は道を迷いに迷って果たして目的地にいつ着けるのか。
蠟庵の道の迷い方は確かに尋常ではないのだけれど、その理由が明かされてしまえば、あぁ、そうだったのか、と妙に悲しく納得できてしまう。
なにしろ、道中、山を登っているはずがいつの間にか海に出てしまったり、家の近くを歩いていたのになぜかある庄屋の土蔵に入り込んでしまったり。その折々に巡り合う人々との話は、怖ろしい時も、おぞましい時も、また、優しい時も。

私が好きだったのは、蠟庵と旅した先で老婆からもらった青い石のおかげで、何度死んでも生まれ変わってしまう輪(りん)の話。彼女は、何度でも輪として生まれ、彼女の生涯を繰り返すのだけど、胎内に戻った時から既にはっきりとした意思を持ち、これまでの記憶を元に禍を避けたり、幸せになる術を模索したり。
そして、自殺だけはしてはいけない、と釘を刺された彼女が最期に選んだ道は??

本についている紐が、赤・濃茶・薄茶の三本の糸となっており、その長さが少々不気味なのも嬉しかった。
凝った造りの本の贅沢さを味わいながら読むことができました。


2012年05月27日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月27日)

気分上々

森 絵都

/ 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2012年03月01日 発売



森絵都さんがあちこちで(*^_^*)書かれた短編九編をまとめた可愛い一冊です。

「気分上々」というタイトルなんだけど、ほろ苦いお話ばかり。
でも、後味が優しくて、うん、人生って色々あるけど悪いもんじゃないよね、と思えるところが嬉しかった。

「自分革命」のために、イキがいいか、悪いか、を基準として友だちを選ぶ決心をした女子高校生。
左右対称の名前の掟から逃れようと家を出た女性、南アフリカ&タンザニアに旅行するために黄熱病予防注射の会場で知り合ったマフィアに詳しい男性(*^_^*)と恋に落ちた女性…。
私が一番好きだったのは、「本物の恋」。
17歳にして恋に絶望していた女の子の前に現れた、あるカップルを凝視する男性。なぜかその彼と一緒にカップルの後を尾けることになってしまった彼女だが、彼の号泣シーンがとてもとても悲しくて、でも、同時にとても温かいものをもらった気持ちになってしまったのはなぜだろう。
その八年後に彼と偶然再会した時に明かされる彼の秘密もよかったし。


2012年05月27日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月27日)

ホームグラウンド

はらだ みずき

/ 本の雑誌社 / 2012年02月21日 発売



ただ、ちょこっと親子でサッカーをしたいだけなのに、いつの間にか学校のグラウンドも公園もマンションの中庭もそれが許されないことになっちゃってた…。そしてそんな父と息子が見つけた板塀の向こうの芝生の広場! 夢のような芝生の広場の描写から始まるこの物語。



思わずSFだろうか、なんて思ってたら、なんか情けない不動産会社の営業社員・圭介が出てきて何?何?

農地を宅地に転用することを承諾していたはずの祖父が、庭先で倒れた以来、のらりくらりと言を左右にし始める。
困り果てた圭介は祖父のところに先輩社員・春菜と共に通い詰めるのだが…。

う~ん、導入はよかったんだけどなぁ。
圭介の中途半端さがあまりにヒドい。
仕事も恋も、自分で何を求めているのかちっともわかってないし、その割には、なんだかトントンとうまくいってしまうのに意義あり!と言いたくなってしまう。

祖父のところに現れる小さな男の子の正体は?
なんで祖父は気持ちが変わったの?
謎が徐々に解き明かされて、うん、よかったね、と思ったり、それはあまりにしつこいだろう!と思ったり。

大好きな本の雑誌社の小説なのだけど、ちょっとこれは好きじゃなかった・・・かなぁ。


2012年05月27日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月27日)

軍鶏侍 (祥伝社文庫)

野口 卓

/ 祥伝社 / 2011年02月05日 発売



こ、これは!!!若くして、自ら隠居生活に入った剣士・岩倉源太夫。南国の小藩、園瀬藩に息づく人々の日々を静謐に描き出す筆運びがとても嬉しい…。(*^_^*)



これも、「本の雑誌」5月号、めったくたガイドBY北上次郎より、手にとりました。
今月は本の雑誌月刊ですね。(*^_^*)

野口卓さんという方、私はお初だったのですが、解説によれば、藤沢周平にによって時代小説に開眼、編集者や脚本、戯曲などを書かれた後、今ではこの「軍鶏侍」のシリーズを続けておられる、とのことです。

そして、その筆致は、藤沢周平の新作をもう二度と読めないファンにはとても嬉しい匂いを持ち、うん、とても楽しんで読むことができました。

主人公の源太夫は、闘鶏の美しさに魅入られ、そこから秘剣まで編み出したことで「軍鶏侍」と呼ばれている。そんな彼が、藩の政争に巻き込またり、若い妻をもらったり、道場を開いたり・・・。
北の海坂藩、南の園瀬藩、と言いたくなるような背筋の通った武士の生活の話がとても嬉しい。

そして、源太夫の老僕・権助がまた、実に実にいいんですよ。\(^o^)/
「お前、うちに来る前は何をやっていたんだ?」と、源太夫からしょっちゅう聞かれるほどの、あらゆる分野における実体験を伴った知識(読んでいてここがホントに楽しい。へぇ~~、そうなのか、と新鮮な驚きをもたらしてくれると同時に、権助の人となりの奥行きの深さまで感じさせてくれる。)や、人間関係についての世知、また、時にドキッとさせるほど俯瞰的にものを見ているかと思えば、源太夫大事と熱い気持ちも!と、あはは・・私はむしろ、時々考えが浅いのでは?と思わせられる(だって、あれこれ、そんなに簡単なものじゃないでしょう!と、突っ込みたくなるんだもの。男の論理の浅はかさ、とまで言ったら言い過ぎ?)源太夫よりも権助の出番を心待ちにしてしまうほどだった・・・。(*^_^*)

これはもちろん、続きを読まずばなりますまい。


2012年05月16日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月16日)

ディアレスト ガーデン

遠野 りりこ

/ 小学館 / 2012年03月12日 発売



茜・19歳。著名な画家である岸杜秋の息子であるが、父親が7年前に交通事故急逝。残されたのは、12歳の彼と少し前に父と結婚した爽子・20歳だった…。


本の雑誌のお気に入りの連載、“吉田伸子の「食えばわかる」”5月号にそそられて。(*^_^*)
書評家の吉田伸子さんが、小説に出てくる料理を実際に作って(それを発行人の浜本さんが試食、コメントが渋いのも可笑しいんだけど)同時にその小説の持っている「色」というか、うん、まさしく「味」を紹介するコーナーなんだけど、ポイントはそのレシピがとても簡単、ということかな。(*^_^*)
料理好きで知られる吉田伸子さんだから、もっと複雑なものだってどんどん作れちゃうんだろうけど、そこにはたぶん、吉田さんなりの線引きがあって、お話の中でちょちょいと作った食べ物がいかにその人物の根本を表しているか、を読者に知らせたいんだと思う。

で、今回は、爽子さんの作った「かぼちゃパイ」。そもそも、爽子さんはとんでもなく独創的な(単に下手、とも言える)料理人で、小説内で語られる彼女の美しさとのギャップが可笑しかったり、またそれゆえに義理の息子・茜が料理上手になってしまうという面白さ+もっと奥深い彼ら2人の関係性までが見えてきたり。

たった8歳違いの義理の母と息子という不自然さ(しかも、爽子さんは今をときめく美人モデルで、茜くんも落ち着いた佇まいがとてもとても魅力的、かつ、人付き合いが下手と自分では言いながら、学校の傍ら、バーテンのバイトをしていてそこではかなり有能であるらしい。(*^_^*))と、爽子の料理下手は、ホント、いい具合に化学反応していて、そのピンポイントを読者に提示してくれた吉田さんって・・・と、本の感想なんだか、「食えばわかる」の感想なんだか、わからなくなってきちゃうんだけど。^m^


茜くんも爽子さんも、また、2人を取り巻く人たちも好きでした。
そして、この不自然な関係がさぁどうなる・・・??となると、それはもちろんネタばれになるから書きたくないのだけど、ただ、後半の茜くんのあれこれ逡巡するところはちょっと冗漫になっちゃってたかな。
もう少し、ページ数を削ってすっくりさせた方が読者としてはもっと面白く読めたかも、という気がします。2人のことが好きだから敢えて言っちゃうんだけど。


2012年05月15日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月15日)

あなたの本

誉田 哲也

/ 中央公論新社 / 2012年02月24日 発売



意外な結末、が売り(*^_^*)の短編集。


「帰省」
かなり閉鎖的らしい村から東京に出てきた若い娘。悪い男に引っかかって、風俗?DV?と悲惨な日々を送っていたのだが…。姉と一緒に帰省する新幹線の中で、おいおい、もしかして??と思っていたら、その予想をも覆す一族の秘密・・? そう言えば、と巧みにに入れられていた伏線にも後で気付いたり。

「見守ることしかできなくて」
フィギュアスケートでオリンピックを目指す少女に偶然アイスリンクで出会い、恋をしてしまった少年。彼と彼女の若い世代らしいやりとりが可愛い&楽しい。でも、結末がそうくるかぁ~~!という驚き。タイトルに最後で頷いてしまう、というのも上手いなぁ、です。

「交番勤務の宇宙人」
これが一番好きだったかなぁ。文字通り、交番に勤務している宇宙人の話なんだけど、はるか三百万光年のかなたから、恋人を置いて地球に単身赴任中の宇宙人。(*^_^*) 凄い意気込みでやってきたのに、地球人というか日本人の危機意識のなさにはあきれるばかり。
そっか、地球上には随分と宇宙人たちが暮らしている、ってことなのね。迷子になったり、イタズラをしたり、それはとても可笑しいし、そんな風に同化しちゃってるという描き方が楽しいです。


ただ・・・・正直、オチが今一つ弱いなぁ、と思ったり、そのオチの後味の悪さで、そりゃなかろう、と思ったりのものもあり、凸凹感は否めないかなぁ。


2012年05月15日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月15日)

ニッポンのここがスゴイ! 外国人が見たクールジャパン

堤 和彦

/ 武田ランダムハウスジャパン / 2011年12月22日 発売



NHKの「COOL JAPAN」の書籍化。ほとんどテレビを観ない我が家で、毎回録画して主人と一緒に楽しみに観ている番組です。(*^_^*)


もう半永久的に続くんじゃないか、ってくらい景気が悪いのは当たり前のことになっているし、日本人の人と同じじゃなければ安心できない、みたいな小心さがイヤだなぁ、と感じることが多いし、と、ついつい自虐的になってしまう“日本国民”なんだけど、「COOL JAPAN」を観ていると、日本ってかなり素敵な国なんじゃないの?と思えるところがとても嬉しい。

うん、ポップカルチャーは確かに優れ物だと思ってたよ。なにしろ、手塚治虫先生(*^_^*)が築いた長い漫画の歴史があるからね。私も、数々の漫画から人生を教えられたし、なんて熱く思ったりもするのだけど、それ以外にも、

電気炊飯器や内視鏡、ハイテクトイレ、介護ロボットなどのハイテク、
宅配便、美容室、コンビニなどのサービス、
行動が素早く時間に正確、チームワークを大事にする、修行が好きで頑張る、なんていうライフスタイル、
治安のよさ、おいしくて安全な水道水、温泉などの日本の暮らし、

そして、東日本大震災の時の落ち着いた行動を取れた日本人、

など、当たり前のことと思っている事柄を、それは他の国から見たら、とてもとても驚くことなんだ、と言われると、へぇ~~~、ホントぉ??なんてね。

野菜の特集の時には、そもそも自国にいた時には、野菜を食べる習慣がなかった、と言う人たちがたくさんいてホントにびっくり!! だから、日本人は平均寿命が長いのか、と…。

テレビを全部観ているわけではなかったので、過去のあれこれが読めたのも楽しかった。
お馴染みの外国人たちも多々出てきて、その都度の発言を、うん、彼ならそう言いそう、と思ったり、うんうん、その時のことは覚えているよ、と思ったり。


そろそろネタ切れなんじゃないの?と思いつつ、あの地震の後に自国の家族に請われて一旦帰国したものの、すぐに日本に戻ってきた彼らの話を聞くと、ホントに日本が好きでいてくれるんだなぁ、日々の生活が快適だから日本に住んでいるっていうことなんだなぁ、とも。


2012年05月15日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月15日)

快適生活研究 (朝日文庫)

金井 美恵子

/ 朝日新聞出版 / 2010年04月07日 発売



先月、「彼女(たち)について私の知っている二,三の事柄」をついつい再読してしまったもので、図書館本が山積みだというのに続きの「快適生活研究」が読みたくてたまらなくなり、こちらも何度めかの再読。

う~~~ん、金井美恵子さん、好きだぁ~~~!
ホントにホントに図書館本がドカンと一気に来てしまって、しかも、それぞれとても楽しみにしていた本ばかりなので、実は、「彼女(たち)…」で失業した桃子や、紅梅荘の面々のその後の話だけをピックアップして読むんだ!と自分に言い聞かせて^_^;本棚から出してきた本書なのに、まぁ、始めからそれは無理だってわかっていたんだよね。
あの延々と無自覚な(無邪気な、とも言う?)しょうもない手紙を書き続けるアキコお嬢様から始まって、スノッブそのものの
よゆう通信を知人たちに送りつける建築家、合間に語られる濃厚なチーズクッキーの美味しさ、突然現れる「文章教室」のオールスターたち(*^_^*)、など、私が抵抗できるわけないんだもの。しかも、速読なんてとんでもない。金井さんの文章は、とっておきのケーキを食べるみたいに、ゆっくり味わって読むのがお決まりだし。




本来ならば、馬鹿丸出し(ゴメン、金井さんの文章を読んだ後なので、いつものことながら非常に口が悪くなっています。)の台詞の垂れ流しは私の最も苦手な分野のはずなのに、なんでこんなに楽しいのか、痛快なのか?

悪意がないだけに、この苛々感がどこから醸し出されいるのかがチラッと読んだだけではわからないところを、小説内の別の人物たちがその根本の思い違いからバッサリ指摘してしまうところがいのかなぁ。私って、そんなに鬱屈した性格ではないはずなのだけど…、いや、自分がかなり意地悪であることは元々知っていたんだよね、なんて、ちょっと辺りを見回す気分にもなったりしてね。

桃子は無事、地方大学の非常勤講師の口にありつけたけど、彼女がそこでおとなしくやっていけるのか、紅梅荘のみんなや作家のおばさんとのなんというか閉店バーゲンがずっと続いているような日々は本当に終わってしまったのか。
この続きを金井さんは書いてくださる気はあるのだろうか。
最新作の「ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ」がまたとても素晴らしかっただけに、桃子のことも忘れないでくださいよぉ~~!と申し上げたい・・・。

あぁ、困った、目白4部作に遡って一気読みしたい衝動が。
ダメだよ、今は読む本がたくさんあるんだからね。

・・・・・・・・・・・・・・

以前に書いた感想です。
こちらも貼りつけちゃいます。



目白4部作プラス「彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄」中の愛すべき人物たちがそれぞれ年を重ねて出てくる、まぁ、オールスター編ですね。
(新しい人たちももちろん!!こちらも金井美恵子色バリバリです。)
あまりの面白さに、目白シリーズを再読一気読みです。

初登場は、長々と手紙を書く女性。
まぁ~~~!というくらい無自覚に意地悪で、いっそ気持ちがいいくらい。
自分では「いい人」だと思ってるんだろうなぁ、というその女性特有の勘違いが、他の作家によって書かれるとタダの鼻もちならないイヤな女、になるんだろうけど、金井さんの手にかかると、なんていうか、はいはい、わかりましたよ、と笑える存在になるところがなんとも言えない・・・。

桃子とおばさんもちゃんと出てきて、お元気だったのがとても嬉しい。

「少女小説を究めると金井美恵子になる」って
どこで読んだんだっけ・・・?
なんて言い得て妙!と手を打ちました。

これはもう、たぶん、ずっと側に置いて、
うふふ・・・と好きなところをピックアップして楽しむ一冊になりそうです。


2012年05月12日 | コメント(2) | 読み終わった (2012年05月12日)

雪と珊瑚と

梨木 香歩

/ 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2012年04月28日 発売



珊瑚、21歳。20歳で結婚したものの1年で離婚。ゼロ歳の女の子・雪を抱えて保育所探しの日々だったのを、偶然「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙を見つけて…。


梨木さんの新作でとても楽しみにしていました。

私は彼女の、優しい異界ものが好きなのですけど(そして、「僕は、そして僕たちはどう生きるか」もまた凄くよかった!!)、今回は“普通の”小説で、でも最後までしっかり(*^_^*)読むことができました。

珊瑚は若い若いシングルマザーなのですが、母性を持たない母親に育てられた生い立ち&現実感のない若い男の子(としか言えない)との結婚・離婚を背景にした、今を生きていかなければならない、という現在が、梨木さんの構成と文章の巧さでとてもリーズナブルに始まったことが嬉しかったです。
(シングルマザーものの中には、あまりにも無鉄砲というか考えなしの主人公を周りの人たちが振り回されたながらもフォローする、という話もあって、その甘えたタッチには苛々させられたものだから…。)

で、雪を預かってくれることになったのは、退職^_^;した修道女の くららさん。一軒家で静かに暮らす彼女は、とても魅力的な人で、彼女の言うこと、眼差し、また彼女の作る温かい野菜料理にはほっとさせられて、そこがこの物語の中で一番好きだったところのように思います。

話の展開としては、珊瑚がくららさんに触発されて惣菜カフェを開き、切り盛りしていく、という起業もの、というか、珊瑚&雪の成長物語なのだけど、そこは面白く読みながらも、客商売というものに関しても、育児に関しても、その他あれこれ全て、そんなに簡単なものではないでしょう!という違和感が。
ただ、珊瑚の多角的に自分を見つめることができる人となり、珊瑚と関わる人たちのそれぞれかなり説得力のある人の良さ、また、野菜そのものの味の描写や料理としての優しさに支えられて、実は昨日の夜遅くに読み始めたのに、今日は仕事が休みとはいえ、もう読み終わってしまった、ということからも、ぐいぐいと力を持って読ませてしまう作品だったと思います。(*^_^*)

くららさんの持っている宗教観、珊瑚が感じる人から助けられることに対するあれこれ、また、言ってしまえば登場人物たちの全てがちゃんと言いつくされていない、というもどかしさは、梨木さんの確信犯的持って行き方だったんでしょうね・・・。
日常生活で、この人のことをすべて理解できた!なんてことはあるわけがないのであって、そんな日々にちょっとお邪魔して読ませてもらった、と思えば、うん、こんな物語もいいよね、と。

話は終わってないから、これから珊瑚や雪、また、お店はどうなっていくのか、それは誰にもわからない、私のこれからが自分でもわからないように、と素直に思えたこともよかった気がします。


2012年05月12日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月12日)


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