これでよろしくて?

著者 :
  • 中央公論新社 (2009年9月1日発売)
3.67
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本棚登録 : 981
感想 : 229

再読。
というか、初読時に二回続けて読んでいるので三回目、かな。

いいなぁ、川上弘美さん!(*^_^*)
大好きです。

芯にちょっとだけ人と融解しないものを持ちながら、日常では淡々とことを荒立てずに主婦生活をおくっている主人公・菜月。すぐに思考があっちこっちに飛んでしまうので、「最初に考えていたことは、自然にどこかに見えなくなってしまう」という長所(*^_^*)とも短所とも、女ってそんなもんよ、とも言える傾向を持っている。

そんな彼女が、元彼の母親から、なぜか「これでよろしくて?同好会」というものに誘われ、年齢も職種・境遇のバラバラな女たち数人と、食事をしながら、一応テーマを決めるものの、ただしゃべる、という月に一回持つことになる。

会のメンバーがみんな、とんがりすぎずに、でも個性的であるところがとてもいいです。
こんな場合って、なんか、すっとんきょうだったり、好戦的だったり、という女が出てくることがあって、それにはちょっと違和感が大きかったりもするんだけど、なるほどねぇ~~、とか、いやいや、そうくるか、(笑)とか、素直に思え、また、菜月がしばらく経ってから気付く、この人たちは“食えない”人たちなんだ、という捉え方もすっごく好き。

婦人公論連載ということで、夫・光や姑・ママン、小姑・郁などとの。お決まりのあれこれ、ぐちゃぐちゃも出てきて、初読時には、もう駄目かも…とリタイヤしそうになったのだけど、再読の特権(*^_^*)で、そこにはうんうん、という着地点が用意されていることを知っているから、始めから最後まで、ずっと楽しんで読めた。

菜月が心の中で思うこと、会のメンバーが口にすることには、これが絶対の正解! という押しつけがましさがなくて、そこがまたいいんだよね・・。
夫婦の中には「おばけ」が存在する、とひとしきり盛り上がった後で、でも、そのおばけって案外、ホントにいるんじゃないか、となったり、その流れから、実は会のメンバーは皆、おばけで、菜月が「色々わかってしまったから」消えるね、なんて言われて、えっ?このお話にはホラーが入ってたの?なんてドキッとしたり。

印象的などこかのフレーズを丸々引用しておこうかと思ったのだけど、一冊丸ごと引用したくなると同時に、引用しちゃうとなんか味わいが薄れているような不思議な気分・・・。

これは、昨日、新幹線で横浜の長女の所に日帰りした時に車内で読んでいたのだけど、ふわふわした所のある菜月になんかいいものをもらった、という感じがとても嬉しかったです。(*^_^*)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2009年6月
う~~~ん・・・・。
ただ今、一回目を読み終わったところ。

主人公の主婦・菜月が日ごろ思っていること、またひょんなことから関わることになった「これでよろしくて?同好会」でのおしゃべりはとっても食えなくて(#^.^#) 面白かったんだけど、合間に入る菜月の身辺の話が、いかにも婦人公論連載、といったノリの、無邪気に押しの強い姑・小姑、優柔不断な夫、といった、私の涙が出るほど苦手な人たちのあれこれで、もう、コワいやら、辛いやら。
菜月がどんな状況に追いやられるのかが見えなくて、よっぽど途中でやめようと思ったくらい・・。ここらへんの話はあんなに膨らませなくてもよかったんじゃないかなぁ。

でも、菜月の言う、主婦のけもの道=「買い物道」という発想からしてコツンと面白くて、また、ファミレスで月一回交わされる議題を決めたおしゃべりは、かなりのツボ!「パンツ問題」(セックスで脱いだパンツをいかなる具合にまた身につけるか)とか、「機嫌のよすぎる男問題」(いつも機嫌よく人の話を聞いてくれ的確な反応をくれるけど、それはどこかで見たようなものであること。で、自分の話はしない。我慢しているのか、しんから何も考えていないのか。気持ちがここにあるのか、実のところはひたすら冷淡なのをひた隠しにしているんだか。)なんて話を、ほぼ固定メンバーの5人ほどでしゃべる、しゃべる。結論を出そうとは思っていないし、メンバーそれぞれの個別事情は、あまり明らかにされないという、あっさりした間柄なのも、面白い。彼女たちの隣のテーブルに座った女の子が興味津々で話を聞いていたという描写があったけど、私もそんな女の子の気分になって、ふんふん、とね。

一筋縄ではいかない議題がたくさん出されて、また、メンバー個人の背景も実は結構面白かったり、だったので、これからもう一度読み直すつもりです。あの姑・小姑・夫が出てくる場面も結果として、そんなにひどいことにはならなかったので、今度は落ち着いて読めるはず。全く、やれやれ・・ですけど

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年7月8日
読了日 : 2011年7月8日
本棚登録日 : 2011年7月8日

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