「ほんもの」という倫理―近代とその不安

  • 産業図書 (2004年2月20日発売)
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感想 : 10
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ロマン主義に根差す本来性について述べる本書の一番の見どころは、たぶん以下の文章

こうしたことが、理想の真価を示す論拠にならないことは承知しています。しかしそれは、この理想に敵対するひとたちを謙虚な気持ちにさせるはずです。はたして、この理想を根絶やしにすることに意味があるのでしょうか。別の言い方をすれば、わたしたちのおかれている状況では、わたしの薦める方法の力が、つまり、この理想の最善のものを支持し、わたしたちの実践をその水準にまで引き上げようとすることの方が、意味のあることなのではないでしょうか
自然環境や野生の大地がわたしたちに訴えかけているという感覚を取り戻すことができるなら、深刻な生態系の破壊を何とか押し止めるのに大きな助けとなります。しかし、道具的理性と自己中心的な達成のイデオロギーによって現代の趨勢となった主観主義的な先入観のために、こうした言い分をことばで説明するのはほとんど不可能になっています。…人類の幸福のためというのはなるほどそのとおりでしょうし、たしかに大事なことではありますが、しかしそれで片付く話ではありません

世界でも相当発言力のでかいと思われる哲学・思想研究者のチャールズテイラー。近代における脱人間中心主義について、やべえ、爺さん、やべえよ、とげらげら腹を抱えて読ませて戴きました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2012年7月5日
読了日 : 2012年7月5日
本棚登録日 : 2012年6月2日

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