近代日本の夜間中学

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著者 : 三上敦史
iamgolgo13or007さん 教育学   読み終わった 

中等教育史研究に新しい風

 本書は夜間中学という聞き慣れない学校の歴史に着目した労作である。夜間中学はエリート教育の場であった旧制中学とは異なり働きながらも中等教育の〈知〉の匂いを嗅ごうとした青少年の学びへの志しによって生まれた学校である。そこには初等教育と高等教育の中間段階として位置づけられる中等教育ではなく、庶民による庶民のための中等教育という近代教育制度史のもう一つの側面を見いだすことができる。しかるに、夜間中学に関する研究はこれまでほとんど注目されてはこなかった。高等学校の現職教師であった三上氏はそのような青年の熱い志しに思いを寄せ、その全貌を明らかにしようと社会人大学院生となり、夜間中学の研究に取り組むことになったという。かくして本書は単著として夜間中学を取り上げた最初の成果となったのであり、それゆえに本書には高校の現場にいた者のみが知る青年への情愛が底流としてあって、それが魅力となっている。
 教育改革がかまびすしく取り沙汰される現在、原点に戻らなければならないのは夜間中学に見られる学びへの志しである。本書は夜間中学というまさしく日の当たりにくいところにあった学びの場を教育史研究の俎上に載せた画期的な著作であり、まさしく中等教育史研究の新しい風と言っていいだろう。

レビュー投稿日
2010年4月3日
読了日
2010年4月3日
本棚登録日
2010年4月3日
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