アテネで華々しく弁論を繰り広げるソフィストたちの「偽りの知者」の仮面をはぎ取ろうと、ソクラテスは「真の知者」として議論をしかけます。しかし、その行為がソフィストたちを刺激し、ソクラテスの行為は社会不安を煽るものと見なされ、「国家の神々を信じず、青少年を堕落に導いた」として裁判にかけられてしまいます。その裁判での反論の記録が、本書「ソクラテスの弁明」で、偉大なる哲学者である弟子のプラトンによって書き記されたものです。ともすれば難解と思われがちな内容を、平易な英語で書き直した本書で、ソクラテスの哲学がどのようなものであったのか読み解き、西洋哲学の源流に触れてみてください。
ソクラテスは裁判では死刑判決を受け、その判決を受け入れて自決します。ソクラテスの言っていることは現代の我々にも共感のできることですが、裁判に参加した側の言うこともまた、共感できてしまうのではないでしょうか。面と向かって知性を否定されたら、冷静にその人の話を聴ける自信が、私にはありません。
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ラダーシリーズ
- 感想投稿日 : 2013年5月7日
- 本棚登録日 : 2013年4月1日
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