菊池寛「蘭学事始」の前後左右に肉付けした感じ。ところがこの肉が厚くて豊かで魅力的。玄白がちょっとフォローされてるかな。まあでも、報帖で様子見とか家治への献上とかって玄白のアイデアだし、病弱で独り者だった玄白がこの成功で妻帯できたのは良かった良かった。
良沢が中津から江戸へ戻る途中で、「大井川に渡しがない」って話が出てきた。先日、角倉了以が江戸初期に舟を通した話(岩井三四二「絢爛たる奔流」。この本の解説、偶然にもこの人)を読んだばかりだったので、あれ?っと思ったけど、よく考えたら了以のは京都の「大堰川」だったw
あと、そもそもこの話、前野良沢と杉田玄白がダブル主役なんだけど、それぞれの交友範囲に平賀源内と高山彦九郎がいる。史実上、無視できないのはわかるけど、この2人、脇役には相当向かない濃いキャラw。なんで、全体のバランスが崩されちゃって、最終的に座りが悪い仕上がりに感じた。寧ろ例えば、玄白が60歳で良沢70歳の時の20年振りの再会なんかは、もうちょっと紙幅を割いて欲しかったなあ。
岩崎克巳の「前野蘭化」、挑戦したいけど、東洋文庫3分冊かあ。ハードル高いなあ〜!
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読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2017/10
- 感想投稿日 : 2017年10月16日
- 読了日 : 2017年10月18日
- 本棚登録日 : 2017年9月24日
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