俺が、つくる!: 世界一の職人岡野雅行

著者 :
  • KADOKAWA(中経出版) (2003年1月1日発売)
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感想 : 29
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深絞りの技術で、痛くない注射針で有名になった、岡野工業社長の岡野雅行さんの本。
技術にこだわり、出来ないことはないといったこだわりの親父さんのお話し。
今年の著書「試練は乗り越えろ」を先日読んで、一番売れた本書「俺がつくる!」も読んで見たのだが、同じ話がたくさん出てきた。
先日、岡野氏の講演を聴く機会があったが、講演の内容も、本書と同じ内容がほとんど。話好きなおじさんで、時間いっぱい(若干オーバー)イキイキとしゃべっていた。
生の声で聞くと、おもしろいおっちゃんで、歳(喜寿)を感じさせないパワーが魅力的だった。講演の内容を少しメモしておく。
・痛くない注射針テルモが100社以上探して見つからなかった針の作れるところ、豊通からの持ち込みの話で岡野工業に。15分ほど考え、できると言ったら驚いていた。
パイプからじゃできない。針はパイプからつくるという思い込みがダメだったんだろう。
特許はテルモと共願。大企業に取らせないと防衛出来ない。(プルトップの特許、知り合いがデットコピーされた云々)
・大学卒じゃダメ。中学中退の俺が、、、
図面書く~型組む~つくる、一貫してわかっていないとできない。
パーツを外注⇨公差がある⇨合わせこみの世界が成立しない
・1から10までやるべき。でも大企業だとさせてもらえないでしょう。
・優秀な娘婿(えもとさん)にも恵まれデジタルの世界も取り入れてできた?
えもとさん=ニコンで潜望鏡の加工していた
・専門バカはダメ
・型で売らない。システム、プラントで売る。
成形用の加工油もセットで(ブレンド)
・決して新しい技術じゃない。
・携帯の電池のケース。地場の口紅ケースから
・1万円のりんごの話(高くても売れる)
そういうのを気づく感性が必要
・高くてもいい。何か他とは違った物を作りなよ

てな感じで、ずーっと江戸っ子弁でしゃべっている、気のいい工場の親父さんでした。



目次
「できない」と言われると、俄然、成功してみせると燃えてくる。
失敗を何度も繰り返す。だから誰もできない仕事ができる。
技術は見て盗むもの。教えてもらうものじゃない。
勉強は大嫌いだった。その代わり、誰よりも遊んだよ。
技術や商売の仕方は遊びのなかから身に付けるもの。
図面を引かないから発想は無限に広がっていく。
金型屋がプレスやるんだから、プレス屋も金型をやればいいじゃねえか。
夕方五時から朝の八時まででいいから、工場を貸してくれ。
「安くてみんなが敬遠する仕事」と、「難しくて誰にもできない仕事」しかやらない。
同業者の仕事を盗ったことはない。盗られるばかりだ。
布団にくるまっていても飛び起きて、工場にこもるなんてことはしょっちゅだ。
国や銀行に何かしてもらおうと思ったことはこれっぽっちもない。
人を伸ばすのには徹底的に褒めることだ。
俺は会社の社員は絶対にけなさない。
時代が変わることを考えないで、お金を追いかけているからダメなんだ。
俺より技術が優秀な人は世間にいっぱいいる。でも商売センスがないんだな。
「看板」で人を判断する人がいる。仕事は看板ではなく、人間生でするものだ。
井戸を最初にほった人を、大切にしないと相手にされなくなる。
ちょっとばかしお金がかかっても必ず返ってくる。商売とはそういうもの。
同じ仕事は三年とやらない。値引き競争が始まる頃には次の仕事に取り掛かっている。
小泉首相や竹中大臣よりも日本経済のことはわかっているよ。
才能豊かな人でも何もないところから発明は出来ない。最初はコピーから始まる。
大企業に言われっぱなしではなくなるのだよ、捨てゼリフを言うぐらいでないといけない。
ちょっと人と違うことをやれば絶対に儲かるのに、苦労しようという人がいない。
誰も責任を取ろうとしないから現場は怖がって何もないできない。
俺は「狩猟民族」だから人と違うことをする。でないと生き残れないんだ。
世渡り術や世の中の仕組みは玉ノ井の遊郭で教わった。
技術は失敗の賜物。挑戦しなければ失敗もないが成功はもっとない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2010年9月5日
読了日 : 2010年9月5日
本棚登録日 : 2010年8月22日

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