辺境ラジオ

  • 140B (2012年9月14日発売)
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毎日放送の不定期ラジオ番組「辺境ラジオ」の放送をまとめた本。毎回「アメリカや中国ではなく日本の、そして東京ではなく大阪の、もっといえばテレビではなくラジオの、
つまり中心ではなく辺境だからこそ見える時事ニュースの意味を探ろう語ろう、そんな番組でございます」ではじまる。ラジオだからこその番組内容。
主に内田氏と名越氏が世相のこと、大阪のことなどなど意見を述べつつ、西アナウンサーがつなぎつつ、時々セーブさせるといった展開。
番組としても面白いが、本になっても面白かった。
対談本苦手な私には珍しく高評価。
番組が今度いつあるかがわからないのがネックだけど、
ポッドキャストで過去の番組聞けるのでそちらもオススメ。

メモ
・子供は大人からの感情をすぐに模倣する。
だからと、大人の側ですごい明るい家庭を演技、ロールプレイする。
・会議はムダ、ホウレンソウとかいうビジネスマンはダメ。
ものを決めようと思ったら4人以上いちゃいけない。4人以上いるとクリエイティブな議論ができない。
ホウレンソウは責任の所在を曖昧にしてしまって、とりあえず「自分じゃないよ」「言ったよオレは」という風にできてしまう
・上司は神輿。担がれ上手がいい。
幕末長州藩主の毛利敬親は「そうせい公」と呼ばれた。
上司が自分の存在感を示すために「ノー」ばっかり言ってではダメ。
・年は誰かが作ってくれるもの。自分たちでつくっった神社仏閣も持たない。本来は極めて宗教的な感受性が強い大阪が素俺を失ったことで本質的な地位からが弱まっている。
だから「うめきた大仏」
・昨年末12/25の放送
2011と2012セットで考えるべきか。2012の米韓日政権が変わる選挙あるはず。そのあとで見てみると、どう解釈できるか見えてくる?
残念ながら、オバマ続投でアメリカは不明なまま、日韓はこれからというところで、情勢もよくわからないこと多し。来年考えるべきか。
・サンデル教授のディベート
これには否定的な二人。
・暗い気持ちで下した決断はほとんど間違っている。
明るい気持ちの時は自然すぎてそもそも何かについて重大な「決断する」というような局面に遭遇しないから。決断というのは、サンデル教授の出す事例のように分岐点の前で立ち止まるということ。分岐点のはるか手前で「あっちにいくとなんだか『厭なこと』が起きそうだから」と感じて違う道をいっていれば、どちらが正しいかという問そのものに遭遇しない。
正しい決断をしないといけない状況に追い込まれたということ自体が誤った決断の連続の結果。


目次
イントロ 西靖

(第1回放送)
守るにせよ、崩すにせよ、「定型」はやっぱり大事。
(お題)
ハエが手をする理由
科学者の宿命
人間と自然
家族とはロールプレイング
「型」の偉大さ
見えないものの追究
韓国のエリート教育
階層が固定化しつつある
教育は職人芸
学生の「無音地帯」
(第2回放送)
2010年の重大ニュースをふり返る。
(お題)
誰が喋っているかわからない
ウィキリークスの功罪
ツイッターの排他性
身体性を公開するメディア
ロ蹄疫に思う命の優さ
大阪は元気がない?
(第3回放送)
大阪を元気にするには、「うめきた大仏」しかない!
(お題)
ホウレンソウは要らない
民主党の薄っぺらさ
政治家に必要な器量
辺境は政治家の名産地
「元気」の意味
大阪が陰りつつある
元気"消費ではない
おすすめは「アーシー」
「うめきた大仏」建立計画
都市には天神地祇を祀るべし
(第4回放送)
被災地に向けて、大阪からできることは。
(お題)
狂った時間感覚
原発停止フライング発言
官僚は真のナショナリストか
原子力行政の無理解
政治家はおばさん感覚が大事
これからのビジネスモデル
西靖が見た東北の被災地
「不謹慎」
祈ることの力
使える資源はぜんぶ使う
(第5回放送)
立ち止まり、祈ることから始める、
震災後の新しい生き方。
(お題)
どうしようもない状況に立ち向かう
傷ついた人のために祈る
偏差値が同調圧力を生む
もっと知性に敬意を
子供の胸の内が言葉になる時
原発供養「ごめんね、原発」
災害は繰り返される
"アラーム"を消すな
「利権」は存在しない
バーチャル組閣
上司は「担がれ上手」たれ
再論・うめきた大仏
自分たちの手で都市をつくる
大阪の霊性
簡単に結論づけない
(第6回放送)
下り坂にさしかかった日本で、
機嫌よく生きるために。
(お題)
2011年と2012年はワンセット
サンデル教授の無自覚
ディベートの落とし穴
考える時の時間の尺度
保留を恐れるな
日本が示す新しいモデル
ギルティー・フリーのあざとさ
立ち往生するメディア
暗い気分で判断したことは間違う
誰とでも結婚できる能力
橋下大阪市長に期待するもの
閉塞感は前提ではない
「政治は怒り」という未熟な考え
自分の体を軸に生活設計をし直す
(番外編)
「おせっかい・アハッ!ラジオ」
内田樹x茂木健一郎×西靖

あとがきにかえて
ラジオの手柄

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年12月9日
読了日 : 2012年12月9日
本棚登録日 : 2012年11月25日

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