ことの本質をとらえるのが抜群にうまい人。小松左京さんはそういう人だと、びしびし感じる一冊。未来視のできる人… と言ってもいい。ここにおさめられた物語のテーマは、今読んだらすごく実感できるけど、発表当時は荒唐無稽ととられたかもしれない。でもその荒唐無稽に近い未来がやってきてしまったのだ。鋭い洞察と的確な分析でもって導かれた未来は薔薇色じゃない。視える人には視えていた。でもそれが冷酷無比なばかりじゃなくあたたかみも伴っているのは、小松さんが人間を好きだからなんだろうかなあ。きっとさよならの瞬間まで、人間を信じていた人だっただろう。
「袋小路」がいちばんロマンチックで、好きですねえ。
「黴」でなんとなく読みかけのレム「エデン」を思い出した。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年11月11日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年11月11日
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