できることをしよう。: ぼくらが震災後に考えたこと (新潮文庫 い 36-8)

  • 新潮社 (2015年2月28日発売)
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感想 : 11
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冒頭の、ヤマトホールディングスの木川社長のインタビューだけでも買って読む価値がある。読んでよかった。

宅配便1個につき10円という寄付事業、それを元手にし、無税化するため財団経由で被災地の生活産業基盤を支援した話。
かつて土木学会誌とか(日経の新書でも?)軽めに触れたことのある話だったけど、学会誌では「紆余曲折があったが」とか書かれているに留まった無税化のくだりとかが克明に示されていて臨場感を伴う発見があったし、このことが相馬港(井本商運のモデル事業コンテナ輸送航路)の復活に寄与していたのだと改めて思うと感慨深い。

ほかにも、現場主義という話(14万人もの社員を擁しながら、本社にはわずかに300人!)や、受取人想いの配送サービスということ(支払者寄りではなく!)、それに、自慢が苦手(他者想い)ということなど、はっとすることやジーンとすることの多いインタビュー。糸井さんの聞き出しも見事。でもやっぱりヤマトさんがお見事なんだよなぁ。

正直これ以外の記事は、ヤマトさんの記事には勝らないと思った。それでも高校球児や監督のひと夏を追った記事には考えさせられるところが少なからずあった。惜しむらくは、ややあの章の執筆者が言葉尻で目立とうと(でしゃばろうと)しすぎている等、必要以上に飾ろうとした記事になってしまったこと。あの話はもっとシンプルな記述であってほしかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 河川・水・防災
感想投稿日 : 2015年8月19日
読了日 : 2015年8月
本棚登録日 : 2015年8月15日

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