おたくと「虚構性の自覚」についての分析が非常に興味深かった。熱狂とニヒリズムの間をふらつく=おたく、というのはなかなか的を射ていると思う。また、「漫画」という媒体が持つ性質についての言及も納得させられた。加えて、おたくの系譜学としても楽しめる部分が多い。
ただ、精神分析的な要素が強くなる後半はややついていくのが大変に感じた。というのも、あまり精神分析的なフレームワークになれていない僕のような人間にとっては、突飛過ぎるという印象を免れ得なかったのである。
サブカルチャー分析としてはよくできている一方、精神分析的な方向はほどほどに取るぐらいがこの本の活用法としては良いのではないだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
また読み返したい本
- 感想投稿日 : 2012年9月8日
- 読了日 : 2012年9月8日
- 本棚登録日 : 2012年9月7日
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