冒頭に、リルケの「ドゥイノの悲歌・第四歌」を交えた短い会話が有りましたが、この第四歌の内容が、この作品(「フラニーとズーイ」)全体の主題をある程度隠喩で表していると思います。ズーイが読んでいた脚本の内容は、その後のフラニーとズーイのやり取りをある程度隠喩で表していると思います。
「フラニー」の章で、作者は女性の心理を描くのが上手いと思いました。男性の心理に敏感だったり、少し遠まわしに言葉を喋ったり、気まずくなるとトイレに行ったり。
この物語は、フラニーとズーイの兄であるバディーが書いているという設定なので(だったはず)、フラニーとズーイに関しての記述は好意的に描かれていると思います。けれど、アカデミック系列の人達に関しては、かなり劣悪に描かれていると思います。これは、バディーが、アカデミックの世界にいながら、それと少し距離を置いている事と関係していると思います。これらの人物を造形して動かしているのは作者ですが、作者の意志に反して登場人物が動いたりする事もあるのでは?と思いました。
この作品の登場人物達の会話はナイーブな所が有ると感じました。それを強調するために会話に傍点がたくさんあるのだと思います。シーモアの様な人と現実で会ってみたい。
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- 感想投稿日 : 2017年5月12日
- 読了日 : 2017年5月12日
- 本棚登録日 : 2017年5月12日
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