遺産相続ゲーム 地獄の喜劇 (岩波現代文庫 文芸 139)

  • 岩波書店 (2008年10月16日発売)
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本棚登録 : 159
感想 : 9
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戯曲だからかさくさく読める。
各キャラクターがいっそ潔いほど典型的。傲慢強欲な保険会社社長だったり、悪知恵働く嘘つきだけれど愚直さには弱い娘だったり、夫に従順で娘を自分の価値観で縛り付ける母/妻であったり。生真面目な女教師は一度自身の価値を認められると、途端に自尊心の高さを露呈して冷静な判断ができなくなる。盲目のアンナは弱い人の心を掴み操るのがうまい。将軍はやはり猪突猛進で、前科者さんが社長と教師の自尊心を突いて彼らをだまくらかす様などは胸がすく。
反面教師がよりどりみどりという点で、とても良い作品だと思う。

アレクサンドラの電波とゼバスティアンの愚直さ、召使いのアントーンの爺加減は中々よい。

付録の「演出上の注意点」「作者ノート」まででひとつの作品。ここまで読まないと中途半端な気分で終わる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年1月6日
読了日 : 2013年1月6日
本棚登録日 : 2013年1月6日

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