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レビュー by master-Q-tonさん
荒木飛呂彦さんのコミック、『JOJOの奇妙な冒険 第4部 - ダイヤモンドは砕けない-』の、乙一さんによる、ノベライズ作品。
初めて、この本を書店で見かけ、その「タイトル」を見たとき、たまげました。
「どこまでやる気だ、この方は……」と、ダークブラウンの、重量感のある装丁の本を手に取り、乙一さんの、何か得体のしれない「底なしさ」に、あぜんとしました。
(おそらく、作中に出てくる「とある本」も、このようなイメージなのだろう。)
このタイトルには、いろんな意味が込められているのだけれど、たぶん、西欧圏の作家の方々で、この「タイトル」を付けようと思う人は、そうそう、おられないのではないでしょうか。
物語としては、第4部での、「杜王町」を舞台に、その事件が終わった後の、アフター・ストーリーの形をとっており、コミックの登場人物や、「ある能力」などの、「JOJO」を読んだ人なら分かる、様々な「ガジェット」が盛り込まれているけれど、全く別の、独立した作品として、完全に小説世界が構築され、登場人物たちが(この本にしか登場しない人物も、原作の登場人物も含め)、生き生きと動いています。
Qの場合、「コミックのノベライズ」とか、逆に、「映画作品の小説化」といったもので、「オリジナル」を超える作品に行き当っていなかったので、完全に、これまでの思いこみを覆されました。
コミックの、「ある能力」を駆使した、肉弾戦・心理戦の描写も、文章でここまで表現できるのか、という緊迫感。
よく、乙一さんは、「切なさ」や、「ホラー」、「トリック」的側面が、強調されるけれど、その真骨頂は、「描写能力」にあるんじゃないかな、と思います。
とにかく、作品世界を「リアル」に思わせる、「情景描写」と、登場人物に、いつの間にか読者を引きこんで、思わず「感情移入」させてしまうような、「心理描写」。
Qが読む限りでは、特に前者がすごいと思います。ただ、後者に関しても、この「感情移入」そのものが、本作品の主人公にとって、重要な要素として反映されているあたり、乙一さん独特の、「本とは何か」という、あくなき追求の姿勢が見て取れます。
この「主人公の少年」の「かなしみ」は、結局、そのような形でしか、解決されなかったのだろうか、と思うけれど、ラストシーン、バスにのりこんで去って行く、「主人公と深いつながりを持つ少女」に、「遠くへ!遠くへ行くんだ!運命も追ってこない遠くへ」と、伝える「ある少年」によって、かすかな一筋の希望がさしこみます。
ちなみに、この作品、乙一さんによれば、「執筆5年、ボツ原稿2000枚」だとのこと。(たしかに、Qも、ぜんぜん違った、「初期校の一部」が、雑誌に掲載されているのを読んだことがある。)
原作者、荒木飛呂彦さんをして、「完璧」と言わしめた作品。(このお二方、「JOJO」のかたきやくが、「D*O」って名前だったりして、何か、相通じるものがあるのだろうな、と思う。)
「本とは何か?」という、追求の果てに誕生した、「不可視の世界」から浮上する、「アナザー・ワールド」の本。
レビュー登録日 : 2012年01月26日
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