誰でもよかった (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2014年10月9日発売)
2.89
  • (3)
  • (17)
  • (45)
  • (25)
  • (4)
本棚登録 : 386
感想 : 36
3

ネゴシエーターが主人公の話としては「交渉人」の方が奥深くて面白かったというのが、読後の率直な感想かなぁ。

このタイトルが犯人のセリフではなく、警察側が下した処置の理由ってところが驚きポイントなのかもですが、ちょっとインパクトが弱かったかも。

それは、作中で横川がわざと高橋を刺激するために理不尽な指示を出すあたりに感じた、違和感に近い非現実感——いくらなんでもリアリティがなさ過ぎないか?という疑問——に由来する気がします。

横川が普段無能と思われている人物だったらその言動は自然に映ったかもしれませんが、けしてそうではない人物があからさまに不自然な行動をとっていたので、そこに不信感やうさんくささを感じざるを得なかった訳です。

そう思うと、横川が普段無能と周りに思われている人物だったと描写されている方が、本作は面白かったかもしれません。

無能と思われる横川の行動が計算づくであること。警察の価値観が個々人の生死や幸福感より、社会全体のそれを優先すること。そのためには個々人の命など歯牙にもかけないという現実。

横川=無能、とすると、そんな印象操作ができたんじゃないかなー。素人考えですが……

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年11月4日
読了日 : 2014年10月31日
本棚登録日 : 2014年10月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする