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異邦人 (新潮文庫)についてのishiko39さんのレビュー


ishiko39の本棚»

生命科学を専攻とする文系脳学生 ここは過渡期

異邦人 (新潮文庫) 4435人が登録 ★3.62

著者: カミュ  制作: Albert Camus  窪田 啓作 
本 / 新潮社 / 143ページ / 1954年09月発売

レビュー by ishiko39さん

小説   読み終わった   4  登録日: 2012年02月05日

さらっと読めた

主人公ムルソーの視点から逆説的に、法律家とか聖職者とか或いはもしかしたら医者とか。そういう「条理」のなかで生きる職業の人について思いを馳せる。我々はみな独房の中で無意味な生を生きることに変わりはないが、それを承知した上で制限の自由を選ぶことは可能だろう。

それにしても法廷で延々繰り返される「ムルソーの、母親への精神的な殺害」についての論争の描写が如何にも滑稽で(被告は母親の死に際し涙を流さなかった!)、その風に感ぜられる自身への自戒ともなる一冊だった。
この世では、なにも人生に正直であることだけが「正しい」とは限らないのだ。

本書と並行して『転落』を読み進めているが、次は『ペスト』を読んでみたい。

20120205/18:10 初見読了


追記
作品から連想して最近気になること―例えば「不謹慎」について考える。私がこれに対して常に持つ違和感が、読後明らかになった気がする。

つまり、私が期待するものとは憤慨の矛先が違うように思えるからだ。

ある人が「不謹慎だ」と述べる時、その人が一番気に払っているのは、実はその被害者に対してではない。その不謹慎さを糾弾する世論に、自分もまた糾弾されることを恐れるのだ。

これは異邦人ムルソーが処刑された理由にも、充分足るのではないか。 レビュー登録日 : 2012年02月05日


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