読んだきっかけ:100円コーナーをぶらぶらしながら、ジャケットとタイトルで手に取り、そして韓国人が書いた李舜臣の物語、というのが決めて。
かかった時間:6/23-7/5(13日くらい)
内容:韓国側(李舜臣)から見た文禄・慶長の役。とはいえ、私は日本側からみた文禄・慶長の役も良く知らないのですけど。
さて……全体的に、今ひとつでした。
この小説の満足度が低い理由は、
●李舜臣の1人称で描かれている。
→通常は、1人称小説でも、ときどき第三の視点からその当時の歴史を語ったりするような気がしますが、この小説ではそれがほとんどないので、李舜臣が知りえないことが、ほぼ描かれない。
→だから、歴史の全体像どうもよく分からない。(特に朝鮮側の事情。もちろん、日本側の事情もほとんど描かれないけど、そっちはまあ、僅かな知識があるのでカバー)
●李舜臣の1人称がかなり抽象的で詩的。海を見ては感じ、風をあびては何かを感じる。
→海外の難しい文学小説を読んでいるような感じ。せっかく歴史小説なのだから、もう少し読みやすい方がよかったなぁ~。
●タイトル「孤将」のとおり、李舜臣はあまりに孤独である。メインのライバルである、豊臣秀吉軍に加え、彼を追い落とそうとする官僚たち、官僚の讒言を間に受けて彼を罰そうとする朝鮮王、そして甘い言葉で味方面をしながら近づく明国軍。彼は誰も信用していない。ただ、戦で死ぬことだけを願っている。
→とにもかくにも、暗いです。いくつかの海戦で大きな勝利を得るが、彼の周囲の人間(参謀クラス)以外、誰も彼をたたえない。むしろ、一人手柄をたてる彼は、同国人からは憎まれさえする。
→朝鮮人たちはすぐに泣きます。百姓はいつもわんわんないているし、朝鮮王は秀吉軍が来たといって泣き、味方が裏切ったといって泣き、側近が死んだといっては泣きます。かくいう李舜臣も、朝鮮王の哀れさに泣き、百姓の惨めさに泣き、息子の死に泣き、自らの境遇に泣きます。秀吉軍だって泣きます。李舜臣の軍隊に追い詰められて、何十人も猿の様に身を寄せ合って泣きます。もう痛哭するしかないです。
まあ、ちょっと変則的な歴史モノが読みたいときには、ありっちゃーありかも。
- 感想投稿日 : 2013年3月31日
- 読了日 : 2010年7月5日
- 本棚登録日 : 2013年3月31日
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