天智,鎌足が亡くなり,舞台は近江朝対吉野朝の様相を見せる。本巻は副題が示すとおり天智の子の大友皇子と天智の弟の大海人皇子の争いである壬申の乱に進む。壬申の乱では,大海人皇子の舎人の活躍が大きいと思うが,本小説ではその辺りはあまり記述されていない。主には,壬申の乱の戦いの経路が日本書紀に示されているように淡々と話は進む。
大友皇子は蘇我赤兄,中臣金らの守旧派に担ぎ上げられた感があり,大友も釆女と天智の子ということで引け目があり,その才からあわよくば天皇の座にという思いがあったと思うが,大友の最期は赤兄,金らは遁走し,2,3の舎人のみとなったようである。それだけを見ると哀れでならないが,大友も自分の才を過大視し,大海人皇子の才と人望を過小に見すぎたのかも知れず,致しかたないのかもしれない。
壬申の乱後,大海人皇子は天武天皇となり,日本を天皇中心とし,大陸に負けない軍,文化,技術をもつよう,改革に取り組む事となる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2009年6月12日
- 読了日 : 2009年6月12日
- 本棚登録日 : 2009年6月12日
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