勝海舟(一) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1968年12月3日発売)
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感想 : 38
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勝海舟の父、勝小吉の話から始まる。
前半部分は、子吉の話がほとんどだけど、6巻まで読み終わってみると、なぜか、小吉の方が魅力あるように思えた。
この小説を読むと、やはり、勝海舟がいなければ、江戸城無血開城はなかったのだろうな、と思いつつも、勝は、もっと自分を評価してほしい、認めて欲しい、という自尊心の塊のような男ではなかっただろうか、と思う。いつもいつも不平不満をいいつつも、やはり、江戸のことが好きで、江戸の市民を放ってはおけない、人情家だ。江戸末期、明治維新の中心を歩きつつも、ほとんど無傷で生き抜いたのは、やばい時には、嗅覚が働き、逃げたり、隠れたりしていたのだと思う。それは、卑怯とか、弱虫とか言う、非難の意味ではなく、物事を為す人は、為すために、どんなことがあっても生き延びて、頑張っていくということだ。犬死は、無駄死に以外のなにものでもなく、やり遂げようと言う、強い意思がないということでもあると思うから。
全6巻

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2017年7月8日
読了日 : 2017年7月8日
本棚登録日 : 2017年7月8日

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