「性と愛の脳科学」
とても面白い内容だった。
性の分化からホルモンにより脳が性別に形作られる過程、性行動の動物たちとの比較による考察、というより類似性、脳の報酬系に働きかける行動、ホルモンの様子など興味が尽きない。
イソギンチャク、ハタネズミ、人間も同様なホルモン物質により脳の報酬系を刺激され性行動をとることなどは、ある意味では人間の尊厳などというものを地に引きずり下ろすものかもしれない。
400ページに及ぶ大著なので内容は発達心理学や心理学的手法による観察なども含み多岐にわたる。
そして最後の結論として、すべての行動は脳内のホルモンという化学物質によって引き起こされるのだとしたら、いったいどう考えたら良いのか。
人間の意識も結局脳内の電気・化学系の反応に基づいているのだろうから、自由意志とはいったい何だろうかと考えさせられる。
本書はそれでもそれを感じているのはあなた自身だといっている。デカルト的ではあるが、意味を教えるものではない。
科学は真実を突き止めるが、人間には意味を作る物語が必要だと言うことがよくわかる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
サイエンス
- 感想投稿日 : 2016年9月24日
- 読了日 : 2016年8月20日
- 本棚登録日 : 2016年8月20日
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