ひとつの出来事、誰かの行動が、水の波紋のようにひろがっていく。
中村文則さんの「何もかも憂鬱な夜に」では命の縦のつながりを思ったが、今回は横の広がりをひしひしと感じる。
直子の行動で自分や両親や様々な人の人生がどうしようもなく変わったと考えた泰子。
それは確かに事実だけど、それぞれが自分で選んできた道でもあり、すべてのことは始まってしまえばどこかに向かって動き続けるしかない。なんとかなるもんだ、というのは直子らしい言葉だけど、そこに希望を抱かずにはいられない。
智の章から始まったけど、どうも智は脇役にしか感じられなかった。夫、父親としてはさすがに頼りないなあ。
角田さんの本は、盛り上がりが来るぞ来るぞ〜と冷静に感じつつ、まんまと言葉に酔えるから気持ちいい。今回は控えめだった気もするけど。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(日本)
- 感想投稿日 : 2015年6月2日
- 読了日 : 2015年6月2日
- 本棚登録日 : 2015年6月2日
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