光の世紀 (叢書アンデスの風)

  • 水声社 (1990年12月1日発売)
3.50
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感想 : 3
3

歴史小説、あるいは成長物語。
フランス革命当時、革命がその植民地であるカリブ諸国にどのような影響を与えたかを描く。カリブ諸国の独立への気運が高まっていく時期にあたり、歴史的に非常に面白い時期である。
これらの事件を、主に3人の主人公の目線から描く。
革命に身を投じ、結局革命の道具に成り下がったユーグ。
ユーグに同行するも、革命の現実に幻滅し、革命に背を向けるエステバン。
そして、革命の挫折に憤慨し、最後は自ら革命の中へ飛び込んでいくソフィア。
革命の変遷に翻弄される当事者たちを描くことで、革命の性格の変化が浮かび上がってくる。
「現在という時間において――いつの現在であろうとも――、<よりよい世界>は存在したし、存在したはずだし、存在する必要があったということである。」(237ページ)

ところで、話のネタといい主人公の立て方といい、面白くなって当たり前のはずなのだが、この作品、イマイチのり切れない。というのも、過剰に装飾されまくった文体のせいで、どうにもテンポが悪いのだ(バロック風、らしい。それとも訳が悪いのか?)。ただ、過剰装飾の文章の中には、感銘を与えるような表現も散見されるのは確かだが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ラテンアメリカ・カリブ文学
感想投稿日 : 2009年2月28日
読了日 : 2009年2月28日
本棚登録日 : 2009年2月28日

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