下町ロケット

著者 :
  • 小学館 (2010年11月24日発売)
4.42
  • (2847)
  • (1907)
  • (505)
  • (34)
  • (9)
本棚登録 : 12124
感想 : 2275
5

パターンとしては「空飛ぶタイヤ」とほぼ同じ。小さい会社が大きい会社に勝つというハッピーエンド。
読み始めてから「はいはい、窮地に陥った佃社長は家族と社員に助けられ、最後には会社を救うことになるのね。」と結論を見るが、今回は1回目の窮地を頁の半分も行かないところでクリアしてしまう。
佃製作所は元ロケット開発研究者が立ち上げた小さな町工場。小さな会社だけれど、エンジンに関してはクオリティの高い技術力とレベルの高い開発力を持ち、世界にも通用する製品の特許も多数持っている。ところが経営力がからきしダメ。
大口の受注を断られた上に、大手企業の「ナカシマ工業」が言われもないいちゃもんをつけて特許侵害で訴えてきたのだ。
しかし、佃社長の元妻の助けにより何とか勝訴し、和解金もたくさんもらえることになった。…ここまでが七章中二章まで。早すぎるハッピーエンドなのだ。

そんな中、日本のトップメーカー「帝国重工」が、ロケットのキーデバイスとなる水素エンジンを社運をかけて開発したのに、すでに佃製作所によって特許申請されていたと知り、特許を買い取りにやって来た。ところが佃社長はそれをあっさり断り、エンジンをうちで作らせてくれと言った。
ここからは、ロケットエンジンを作るという夢を追う佃社長と、エンジン特許を売っちゃって特許料で会社が潤った方がいいという社員の攻防と、下町の町工場なんかにロケットのキモ部分を作らせたくない帝国重工のプライドとの応戦。

そして結果は…最初っからわかってるよね。
こだわりを持った製造法で、自社製品の品質には自信をもっている「佃品質、佃プライド」の勝ち。
お約束通り、種子島へ自社のエンジンを載せたロケット打ち上げの立ち会いへ社員全員で行くのです。

のせられてるとはわかっているけど、帝国重工に立ち向かっていく社員たちの姿には思わず涙した。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 池井戸 潤
感想投稿日 : 2012年3月3日
本棚登録日 : 2012年3月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする