ティンブクトゥ (新潮文庫 オ 9-13)

  • 新潮社 (2010年6月29日発売)
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本棚登録 : 573
感想 : 63
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かわいらしいわんちゃん写真の表紙と、興味のあったポール・オースターということで購入。
猫ブームに押され気味の犬諸君、わたしはわんちゃんも応援しています。

詩人ウイリーの相棒はミスター・ボーンズ。犬だ。
ウイリーの死後のミスター・ボーンズを犬目線で描く。

まとめるとこれだけ。
とても単純。

この本は、犬目線の物語で想像されがちな、犬らしい仕草に溢れた犬好き大喜びなかわいらしい物語、ではない。
ミスター・ボーンズは人間と同じように考え行動している。でも犬だから言葉は話せない。犬としての行動を読ませるのではなく、あくまでミスター・ボーンズは犬の姿をした人間なのだ。そこが犬目線の物語ではあっても、この作品が他と違う点。
飼い主と犬というより男と男。
相棒を亡くしたひとりの男の物語という感じがする。

こう書くと男と犬の友情物語という感じがするがそれだけではない。
ウイリーが行き倒れになり恩師ミセス・スワンソンと再会するところをミスター・ボーンズはハエとなって見ていたりする。
こういう不思議なところがポール・オースターらしいのかもしれない。オースター初読みなのでよくわからないけれど。

ところで、タイトルの意味だが、これは作中できちんと書かれている。
わたしは最初、犬の名前だと思っていた。

ミスター・ボーンズが新しいやさしい飼い主の元で幸せに平穏に暮らすというありふれた結末を期待しつつ、そういう終わり方はしないのだろうとわかって読む。
単純な物語だけに何回か読み重ねると思いも深まってくるように感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年3月31日
読了日 : 2016年3月15日
本棚登録日 : 2016年3月2日

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