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死人を恋う (光文社文庫)についてのjo0723さんのレビュー


死人を恋う (光文社文庫) 128人が登録 ★2.97

著者: 大石圭 
本 / 光文社 / 309ページ / 2005年09月08日発売

レビュー by jo0723さん

日本小説   読み終わった  読了日 : 2010年11月17日  3  登録日: 2010年11月17日

 2010年7冊目。
 309頁。

 友人にもらった。
 基本は主人公、その他登場人物の1人称。
 後半時々、3人称。

 屍姦の快楽に取りつかれてしまった、青年の話。


 作者の同級生の女の子が亡くなった際、葬儀で見た彼女の姿に感じた美しさ、作者曰く“死人の魔力”が、本書の内容に大きく影響を及ぼしているであろうことは、疑いない。

 よって内容は、主人公がひたすら屍姦を繰り返していくというものである。

 2名を除き(恐らく)、相手はインターネットを通じて知り合った自殺志願者である。

 自ら死を望む人間を殺しているわけではあるが、それ自体悪であると思うし、何より主人公は自分自身の欲求を満たすためだけにそうした行動をしているわけであり、そういった部分に自分自身を“ヤマネコ”と称する主人公の幼稚さと恐ろしさを感じた。

 正常なことではないが、死体を埋める時に、彼がそれまで感じなかった人並みの“寂しさ”を感じるようになったという描写を見、彼がもし、10年もの長きに渡り自室にひとり引き篭もるのではなく、いわゆる“普通”の人生を送っていたなら、こんな常軌を逸した行動には走らなかったのではないかとも思われた。

 本書は全体的に1人称で描かれているが、内容が自分自身の日常とはかけ離れているため、逆に中々本書の世界に入り込めなかった。




p.11
 僕には普通の人々が当然のことのように生まれ持っている感覚の多くが欠如しているのだ。
 欠陥品・・・たぶん、そういうことなのだろう。
・寂しさや人恋しさ、空腹感までも感じないという主人公。

p.25
 野生のヤマネコが寂しがったりはしないように、僕は寂しがりはしない。いや・・・・・・僕にはそもそも、『寂しい』という感情がどういうものなのか、よくわからない。

p.25
 母の死はショックではあった。けれど、同時に、『解き放たれた』という気がしないでもなかった。
 これからは僕の命は、僕だけのものなのだ!もう僕は誰に遠慮することもなく、いつでも好きな時に、この命を捨ててしまうことが許されるのだ!

p.60
 僕は人間が怖いのではなく、生きている人間が怖いのだ。

p.168
 浦島太郎になること-それは幼い頃の僕が望んでいたことでもあった。

p.231
 わからない。ヤマネコには人の悲しみを想像する能力がない。

p.285
 ひとつの足跡もない雪の上に最初の足跡を残すのがためらわれるように、完璧なものを汚すのはためらわれる。けれど、もう汚れているものなら、僕がさらに汚してもかまわないはずだ。 レビュー登録日 : 2010年11月17日


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