レビュー by jugemsanさん
昨夜買って、今朝の電車の中で読み始めたばかりなので、まだ4分の1くらいしか読めてませんが、著者の米光氏(「ぷよぷよ」「バロック」などのゲームデザイナー)、小沢氏(日本人で初めてAmazon Kindle向け電子マンガをリリースした)の熱狂ぶりが伝わってきます。
その熱狂は、電子書籍の持つ可能性のうち「コミュニケーションを変える」という側面に向いています。
米光氏らは、電子書籍部というチームで「電書」と呼ぶ電子書籍を作成するシステムを開発し、「電書フリマ」を開催し、と実践を続けています。そのなかで対面販売の楽しさ(売り手と買い手が直接コミュニケーションを取れる)や、「電書」が人から人へと伝わる中で新しいコミュニケーションを誘発する、また紙の書籍とくらべて圧倒的に低コストのため誰でも作者になれる、などという様々な可能性にワクワクしているようです。
かつて、紙の書籍を自分でつくったり、売ったり、あげくには売る場を運営していた自分としては、そういう楽しさに世の中の人が気づき始めたんだなあと思いつつ、「低コストゆえの参入のしやすさ」「電子媒体ゆえの伝播のしやすさ」は本当に凄いことだよなあと感じます。
特にコスト面でいえば、紙の書籍は印刷部数とページ数で売価が決まる世界(特に小部数の場合)なので、そのハードルが下がるのはいいことだと純粋に思います。
ある出版社の人が「埋もれた作家を送り出すのも出版社の役目」みたいなことを言っていましたが、今ではネットからヒット作が生まれることも少なくありませんし、電子書籍が普及するにつれその傾向は強まると感じます。また、現在の本屋さんで起こっている「ジェット返本」と呼ばれるような現象は、作者にとっても、出版社にとっても、本屋さんにとっても不幸ですが、電子書籍ならいつでも買える状態を維持できます。
もちろん、紙の書籍にもいいところは沢山あります。いつでも手に取れて、ずっと手元においておきたいような本はこれからも絶対に必要とされます。そういった本と、電子書籍でいい本とに分かれていくだろう、という指摘も本書の中でされていました。
万引き被害の多いことに加え、こういった環境変化もあり、書店はますます厳しくなりそうです。ですが、例えば電子書籍も含めた本が沢山あるなかから適切な本からお勧めをしてくれるようなコンシェルジュ的な本屋さんとか、そういった可能性もまた見えてきます。
元来の本好きとしては、いろいろと興味深いです。まだ途中なのに、こんなに書いてしまいました。
レビュー登録日 : 2010年09月03日
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