聊斎志異 (バベルの図書館 10)

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感想 : 7
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ボルヘス編纂「バベルの図書館」シリーズ。
中国の「聊斎志異」から十四編と、紅楼夢から二編。
聊斎とは作者の号で、「聊齋が怪異を記す」と言う意味だそうな。

死者が戻ってきたり生者が冥府へ行ったり、
人が虎になったり、
青鬼が美女の皮を被ったり…
虎や夢がテーマな作品が多いのは、ボルヘスの趣味だろう(笑)

しかし死者と生者が入り混じるといってもラテンアメリカ文学や、欧米文学のそれらの書き方とは確かに明らかに違う。
中国の死後の世界の観念は現世の延長線のよう。
生きている間も賄賂だの依怙贔屓だの貧富の差だのに苦しめられた庶民たちが、
死んでからもあの世の官吏試験を受けて就任したり出世争いしたり、冥土の鬼たちは死者の袖の下次第で扱いが違ったり、虎に食われた死者は虎の手下としてこき使われたり…、幻想譚の割にはある意味夢がないな(ーー;)

相変わらずボルヘスの序文が素敵だ。
「P12 一国を表すのに、その国民の想像力ほど特徴的なものはない。小冊ながら本書は、この地上でもっとも古い文化の一つであると同時に、幻想小説へのもっとも異例な接近の一つを垣間見せてくれるのである」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●バベルの図書館
感想投稿日 : 2015年11月3日
読了日 : 2015年11月3日
本棚登録日 : 2015年11月3日

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