2012年公開映画。
オペラ座の怪人ミュージカルが映画化された時も同じだったのですが「なんで舞台で完成されてるのにわざわざ映像化?」と思いつつ、観てみたら落ち着いてストーリーや歌詞を追えたり、元はミュージカルだけど舞台ではわかりづらい部分は原作から補足しているため、話も分かり易くなっています。
冒頭のバルジャンたちの牢獄での労働や、中盤のラマルク将軍の葬列から学生たちがバリケードを築く流れなどは、映画で見ると迫力が増しますね。
キャストで嬉しかったのは、司教様役のコルム・ウィルキンソン!ロンドンで初めて上映された「レ・ミゼラブル」におけるジャン・バルジャンのオリジナルキャストですよ!!
テレビで10周年コンサートを見てコルム・ウィルキンソンに感動、CDまで探して買ってしまったくらい。
若い頃のコルム・ウィルキンソンは若さからの粗さ猛々しさもあり、レミゼ以外では「ラマンチャの男」が良かったです。
そしてラストではちゃんとバルジャンを迎えに来てくださいましたね。
舞台で物足りなかったのは、「バルジャンの死の床から天国に誘うのは司教様だろ~~」と思っていたので、この演出は素直に嬉しい。
https://www.youtube.com/watch?v=1rL485i_jlY
https://www.youtube.com/watch?v=-dXYOR3QAUE&t=102s
他に映画演出で目に留まったのは、バリケード陥落で学生たちの死体に交り少年ガブローシュの死体を見つけたジャベールが、敬意を示すところでしょうか。
ジャベールは、バルジャンが自分を逃がしたことに、自分の正義が崩れてこの後自死に至るわけですが、
映画のジャベールは幼い少年まで死を賭して戦ったことに、悪党の集団と思っていた学生蜂起にも意味を見出し、さらに自分の正義が揺らいだのでしょうか。
学生たちのバリケード陥落は舞台の方が”死”が目立っていたかもしれませんが、
アンジョルラスとグランデールの死の場面が原作っぽく二人で並んで銃殺になっていたのは、それはそれでなかなか良かった。そしてお約束のアンジョルラスの逆さま死体。映画でどう表現するかと思いましたが、やっぱりこれはミュージカルレミゼの象徴の一つなので外せませんね。
あとはファンティーヌの「夢破れて」の歌の順番でしょうか。
舞台版では、失業してからこの歌を歌い、娼婦へ身を落とすわけですが、
映画では娼婦になり初めて客を取った後に「私の夢見た人生はこんな地獄じゃなかった」と歌うのでまさに心撃たれる。
舞台とイメージ違う?と思ったのはテナルディエ夫妻。
舞台だともっと年上でコミカルな印象ですが、ヘレナ・ボヘム・カーターってまだまだ魅力的ですよ。「うちの亭主はインポさ」なんていわれると、きゃああ(〃ノωノ)な感じです(子供三人作っといてインポも無かろう、とは思うが)。
ユゴーの原作を読んだときは、どうやってこれをミュージカル?と思ったけれど、本当に素晴らしい話に音楽の素晴らしい作品ですよね。
- 感想投稿日 : 2014年8月20日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 1970年1月1日
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