たぶんねこ しゃばけシリーズ 12

著者 :
  • 新潮社 (2013年7月22日発売)
3.69
  • (68)
  • (198)
  • (187)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 1370
感想 : 164
4

しゃばけシリーズも12弾。
連作短編5編が入り、快調です。
江戸は通町(とおりちょう)の廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若だんな、一太郎は身体が弱い。
祖母のおぎんが大妖という妖怪だったため、妖怪を見ることが出来て、何かと不思議なことに巻き込まれる。
珍しくふた月寝込まなかったので、喜んだ手代の兄やたちに今度こそ丈夫になるために半年の間は大人しくしていてくれと頼まれ、約束するのだが‥?

「跡取り三人」
一太郎ら3人の若者が、商家の集まりで跡取りとして披露される。
塗物問屋の跡取り、幸七は一番年上で身体も丈夫。
煙管問屋の跡取り、小一郎は木刀が得意で侍のように生真面目。
両国の親分、大貞の発案で、3人は一月の間の稼ぎを競い、器量を試されることになる。
工夫して一時は稼げるようになった一太郎だが、この話に疑問を感じ‥?

「こいさがし」
若だんなの母おたえが行儀見習いに娘を預かることに。
ところが、この於こん、可愛いのだが家事はまるで出来ない。江戸で14歳ともなれば一人前の娘なのに。
折りしも、大貞が見合いを世話しようとして手下が苦労していて、一太郎は一肌脱ぐことに。
河童まで、その日に見合いをすることになり、縁談は行き違ってもつれるが‥?

「くたびれ砂糖」
栄吉の働く和菓子屋の安野屋に、3人の新入りが入るが、これが生意気な男の子達。
たまたま主人が腹痛で寝込んでいるため、押さえが利かない。
安野屋で起きた事件を解きほぐす若だんな。

「みどりのたま」
河童の秘薬を取り合ううち、川に落ちて記憶を失った仁吉。
手代とは仮の姿、妖怪の白沢なのだが‥
白沢としての仁吉を知る妖狐の古松に出会うが?
神の庭にいる忘れえぬ人への思いが切ない。

「たぶんねこ」
たぶん、て何?と思うでしょう。その理由が楽しい。
見越の入道が江戸に連れてきた幽霊の月丸。
なんとも不運な男で、成仏できなかったのだが、どこにも居場所がない。
月丸の入っていた巾着の中に吸い込まれるように落ちてしまった若だんなは行方不明となるが‥?
月丸が諦めてただ消えていきそうになるのが嫌でたまらない若だんな。そして‥?

若い子のわがままや世間知らずっぷりは、現代にも通じるかも。
イライラしそうになるけど~幼くても元気で、おさまるところにおさまるので、途中で憎めなくなります。
起きることやその後の采配はお江戸妖怪譚ならではですが。
若だんなの優しさが光ります。
もう少しだけ元気になってほしいなあ‥時々は寝込むにしてもね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2014年1月24日
読了日 : 2014年1月15日
本棚登録日 : 2014年1月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする