死は万病を癒す薬(ハヤカワ・ミステリ1830) (ハヤカワ・ミステリ 1830 ダルジール警視シリーズ)

  • 早川書房 (2009年11月6日発売)
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感想 : 8
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最新作。
爆発で生死の境をさまよった「ダルジールの死」から3ヶ月後。
療養中でまだ身動きもままならぬアンディ・ダルジール警視。
アヴァロンという高級な療養施設に入院することになり、勝手に抜け出して恋人のアマンダに怒られたりもしつつ、しだいに周囲の出来事に勘を張り巡らせていく。
一方、今回のヒロインはチャーリーことシャーロット・ヘイウッド。心理学を学ぶ学生で、生きのいい女の子。
彼女が姉に出す饒舌なEメールと、ダルジールが録音したメモが交互に出てくるのが前半の趣向。互いを評する所も笑えます。
地元の名士でかなり強引な年配の女性レイディ・ダフネ・デナムは理想家のトム・パーカーと協力して、健康と保養を売り物に海辺の町サンディタウンを再開発、大がかりな施設を軌道に乗せようとしていました。
未亡人ですが、最初は裕福な男性ホリスと結婚、二度目は爵位のある男性デナムと結婚して地位を得た、たくましい女性。
今またアヴァロンの院長の男性フェルデンハマーとの結婚を望んでいました。
遺産を期待する亡夫の甥姪や貧しい親戚のコンパニオン、いがみあうホリス一族にも囲まれていたのです。
事件が起きてからは主任警部ピーター・パスコーや部長刑事ウィールド、女性刑事ノヴェロの視点もあり、さらに緊迫感を増していきます。
何しろ、この町にはかってパスコーを深く悩ませ、行方をくらませたフラニー・ルートが滞在していたのですから…
この事実をパスコーに告げるのをためらったダルジールの親心も微笑ましい。
大筋はいくらか予想も出来ましたが、すごい懲りようで細部まではとてもとても。巨匠の実力を堪能しました!
ジェイン・オースティンの「サンディトン」へのオマージュという面もあるそうで、え~っ、これだけは読んでないのよ。読まなくっちゃあ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(ヒーロー)
感想投稿日 : 2010年6月24日
読了日 : 2010年6月24日
本棚登録日 : 2010年6月24日

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