伏 贋作・里見八犬伝

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  • 文藝春秋 (2010年11月26日発売)
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時代物ファンタジーというか。

浜路(はまじ)は、女ながら銃を抱えた山育ちの漁師。
江戸の兄を頼って出てきたが、男の子のような姿でずだ袋と銃を放さない。十四、五とは思えぬ腕前。
兄の道節は20ほどだが大柄。浜路と組んで噂の犬人間を捕獲しようとしていると、あちこちで出くわし、何度か銃でしとめることに成功する。
それが瓦版で絵入りで報道されてしまい、大いに迷惑するのだったが。

犬人間とは、一見普通の人間のように暮らしているのだが、凶暴な性格で、何をするかわからない。
実は寿命は短い。
吸血鬼かレプリカントみたいな存在かな。

大人気の「八犬伝」を馬琴がまだ書き続けている時代。
いささか出来の良くないその息子は、贋作八犬伝を書きつづっていた。
それが謎の瓦版屋だったのだ。
かって伏姫という実在の人物がいた?といういきさつを調べつつ。

里見の地に、呪いを受けた姫が生まれた。
父親の里見義実は「すべてに伏せて生きろ」と名付ける。
伏姫は父親似の外見で、はっきりした顔立ちは綺麗だが、男の子同然のお転婆娘に育つ。
弟の里見鈍色は待望の跡継ぎだが、妙に頭が大きく、身体はひ弱。
大輔は鈍色のお供で、美しい姫に憧れつつ、一部始終を見て育つ。

わがままな姉の伏は、弟が拾った犬を自分の物にしてしまう。
目が青く、尾が長い、白い犬。
八房と名付ける。
その犬が…

隣国の安西へ嫁に行く話もようやく決まっていたのに、突然裏切られ、里見の地を囲まれる。
八房に戯れの言葉をかけた義実。(これは里見八犬伝のままですね)

八房の妻となった伏姫は、重い衣装を捨てて犬にまたがり、銀の歯の森の奥深く入り込む。
里見の領地には、誰も入ってはいけないと言われる不思議な森があったのだ。
入れば気が狂ってしまうと…

イメージの奔流。
こってり艶々した雰囲気。
なかなか面白かったです。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2011年11月28日
本棚登録日 : 2011年11月18日

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