ユーモラスに暖かく人生を描くアン・タイラー。
これはピューリッツァー受賞作というお墨付きの作品。
妻マギーの幼な友達セリーナの夫が亡くなり、葬儀に出かけるモラン夫婦。
出かける朝に車の修理が出来る予定というタイミング。
妻マギーが受け取り、店を出た途端に、トラックにがつんとぶつかってしまう。
ラジオの人生相談に出た声が息子ジェシーの別れた嫁フィオナで、再婚すると言っていたのだ。
呆れる夫アイラだが…
結婚して28年目。
若い頃は神秘的に見えた夫は表情が少なく、真面目だが頑固で、人に対してやや壁がある。父が急な病気で引退したため大学進学を諦めた失望を抱え込みながら、父親のやっていた額縁の店を継いでいる。
妻は明るくお喋りで、親切だがちょっと粗忽で、善意が裏目に出ることも多い。老人ホームでバイトをしたことがきっかけで、そのまま補助員として就職したのを上昇志向の強い母親には惜しまれ、理解されなかった。
セリーナの夫の葬儀では、セリーナが結婚披露宴の時と同じ歌を友人達に歌って欲しいと言いだし、皆は困惑する。
アイラは頑として歌わないが、マギーは歌詞も思い出せないまま歌い始める。
愛する子供達は巣立っていき、たった一人の孫にはなかなか会うことも出来ない。
ちょっとしたことなんだけど~マギーの行く所、おかしな出来事が連発。
夫婦は互いに反りの合わない部分に苛立ちつつ、結婚は揺るがない。
結婚してある程度たった人間なら、共感する所も多いのでは。
どうすることも出来ない哀しみと苦み。
ずいぶんだなあと思う点もあるけれど。
人間ってやつは全くしょうもないが…
笑えて、しみじみとした読後感。
- 感想投稿日 : 2011年5月9日
- 本棚登録日 : 2011年5月9日
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