キネマの神様 (文春文庫 は 40-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年5月10日発売)
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映画への愛で結びついた人々の、敗者復活戦。
だんだん盛り上がる感動作です。

う~ん、まいった。
こういう映画を取り上げるとは。「ニューシネマパラダイス」に「ライフ・イズ・ビューティフル」「フィールド・オブ・ドリームス」!って、‥ ほかにも‥
途中で2回休みましたよ。
こんな書き方されちゃあ、たまったもんじゃないもの‥泣きすぎちゃう。

円山歩は、入院した父の代理でマンションの管理人室を預かっている。
父が日誌に、映画評をたくさん書いているのを見つけた。
歩は休暇を取ったと感謝されているが、じつは会社を辞めたところ。
大手の再開発企業(デベロッパー)に勤めていた歩はキャリアウーマンで自慢の娘だったのが。
初の女性課長として都市型シネコンの仕事に邁進したのが嫉妬されたのか?あらぬ噂を立てられ、孤立してしまったのだ‥
父の郷直(さとなお)はギャンブルと映画に金をつぎ込んで借金まみれ、母はその尻拭いをする人生だった。

依存症の家族の会に出席した歩と母は、父の借金を肩代わりするのをやめることにした。
父が通っていた名画座「テアトル銀幕」のオーナー、テラシンこと寺林は、常連の父がすっかり元気をなくしていると心配する。
ほかの生きがいを見つけるために、歩は父に映画のブログを始めたらどうだと勧めた。

父の投稿で、思いがけなく歩は、映画雑誌の老舗「映友」で仕事をすることになる。
かって欧米から映画を輸入し始めた時代の先端にいた親子の会社だったが、今はここも斜陽になっている。
「ゴウ」のハンドルネームで書く歩の父の映画評も思わぬ評判を呼び、英訳したものに反応があった。
「RoseBud」(薔薇のつぼみ)というハンドル名の‥
日米の~おそらく高齢の男二人の映画好きによる丁々発止のやり取りに、注目が集まる。
名画座の存続危機に、ゴウは応援を求めます。日本には名画座というものがあると。新しいものではなく館主のセレクトで選んだ大好きなおすすめの映画をかけるのだと。それがつぶれかけている‥
呼びかけに対して、ローズバッドは?

家で見られる時代になっても、映画館の大画面で見る臨場感、心躍るひとときは特別なもの。
映画のように展開する~愛あふれる物語。
リアルだけど夢があります!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2013年1月22日
読了日 : 2013年1月18日
本棚登録日 : 2013年1月16日

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