空色の小鳥

著者 :
  • 祥伝社 (2015年9月1日発売)
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本棚登録 : 371
感想 : 81
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家族とは、血のつながりとは‥
血のつながらない兄の遺児を引き取った青年の真意は?
複雑な家族を描いた異色の作品ですが、優しい読後感。

母が再婚した西尾木家で連れ子として育ち、その母をあっけなく喪った無念を抱える敏也。
大企業のオーナーである義父とは養子縁組もしておらず、一族からは部外者扱いされてしまう。
子会社に勤め、淡々と一人で暮らす敏也。
義父のただ一人の実子で溺愛されていた兄・雄一は、かって家を出奔しており、連れ戻された後に火事で急死したが、じつは内縁の妻と娘を残していた。
そのことを知った敏也はある目的を抱いて、幼い娘・結希を引き取って育てることに。

六歳になる女の子を一人暮らしの男が育てるって?
読者同様、周囲も心配し反対するが‥
友達も少なそうな敏也だが、じつはゲイだった友達の汐野や恋人の亜沙子とも優しい関係にあり、近所の人たちの協力も仰いで、なんとか子育てを続けていく。
それだけの経験を積めば、少しずつ変化し、成長もしていきますよね。

内心の屈折や狙いはあれど、血が繋がらない関係にも実は希望を抱いているところもあったのでは?と思わせる。
淡々とした展開で、予想通りのおちですが、丁寧に描かれていて、優しい人物が多い。
嫌な人はいるけど少なく、出番も少なく、それ相応の報いも受ける。
結希ちゃんがひどく傷つくことがなくて良かった。
救いのある物語でした☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2016年2月11日
読了日 : 2015年11月20日
本棚登録日 : 2016年2月11日

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