言語が違えば、世界も違って見えるわけ

  • インターシフト (2012年11月20日発売)
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 色―色づけられていた対象物から切り離れた中小としての色―が人間にとって問題になるのは、人工の絵の具や染料を目にするようになってからのことである。つまり、色を特定の素材から独立した特性として理解する能力は、色を人工的に操作する能力とあいまってはじめて発達してきたのかもしれない。そして、色を人工的に操作する能力は、ホメロスの時代にはほとんど存在しなかった。染色技術は誕生したばかりで、花の栽培は行われておらず、私たちがあって当然と思っている鮮やかな色とりどりの対象物は、ほとんど存在しないに等しかった。(pp.53-4)

 同一言語の異なる変種が接触することからも、単純化への圧力は生じうる。語構造がわずかに違うだけで、理解は困難になりうるからである。したがって、さまざまな地方方言や話し方の変種が入り混じって頻繁にコミュニケーションが行われる大規模社会では、語形の単純化に向けての圧力が高まる可能性がある一方、均質な小規模社会では他の変種の話し手との接触が極めて少なく、単純化への圧力も低い傾向がある。(p.147)

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感想投稿日 : 2015年7月24日
読了日 : 2015年7月7日
本棚登録日 : 2015年7月7日

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